yamato… 古代とユキ 4
やがてクルーは夕食をルームサービスで済ませた後“大変お邪魔様でした”と
言って帰って行った。
「ユキさん、後でいいもの送りますから待っててくださいね」
南部だけ意味深な言葉を残して出て行った
急に静かになった部屋に少し違和感を感じたユキは
「古代くん、シャワー、先にどうぞ。」
そう言ってソファーから立ち上がって端末をダイニングテーブルに広げた
「嫌がらせメールやレターでいっぱいかしら?」
まったく気にしない風で呟きながら電源を入れた
進はユキのそんな後姿をみながら
「じゃぁ悪いけどお先に。」
そう言ってシャワールームに向かっていった。
一人になったユキはシャワー室の扉のしまる音を確認してからメールを見た
(やっぱりいっぱい…)
メールはいろんなところから入っていた。月基地へ行った元ブラックタイガー隊
からもおめでとうメールが入っていた。一緒に働いていた生活班の仲間からも
入っていた
(ありがとう…でも今とっても大変だわ。)
ひとりひとりの顔を思い浮かべながらただ、誰もがどこにいるのか尋ねるので
それは伏せてお礼のメールだけを返した
(誰がどこで見てるか分からないから…)
ユキは本当のことが言えない寂しさと祝福される嬉しさを感じていた
…が
中には古代ファンがいておめでとう、と書いてあるが決してそれは本心ではない
ことくらいわかるので当たり障りのない返事をかいて送信した
数件、送り先の分からないメールがあった。しかしユキの端末は軍内部でも特に
シークレット部分を取り扱うので匿名で送っても誰が送ったのか分かるようになっ
ている。
(ひょっとして…大崎さん?)
おそるおそる開くと内容は真田との事をひねくるような内容とヤマトクルーを非難
するような内容だった。
森 雪さんに告ぐ
古代は致死量の放射線を浴びた死にぞこないだ
ヤツのそばにいるやつは不幸になる
あんたもすぐ別れた方がいい
ヤマトは死の船だ 帰ってこないヤツはたくさんいる
宛先を探してみたが誰も使っていないフリーの端末から送られていた。
ユキはすぐ削除した
でもこのこと知ってるの…誰?
ユキは心当たりない人からのメールをひとつひとつ削除していった
<ユキ、大変な騒ぎになってしまったようだな。しばらくそこに缶詰で申し訳
ない。私は特に困ったこともなく一日終わったよ。3日後のスケジュール
に特に変更はないが一応確認しておいてくれたまえ。添付ファイルを付け
ておいたから。>
ユキが添付ファイルを開くとそこに会議後のパーティーの事が記載されていた
本来妻同伴だがユキに同伴をお願いしたいとのコトも付け加えてありフォーマル
が義務付けされているので請求書起こしていいからドレスをレンタルしてほしい、との事だった
(今まで制服でOKだったのにどうして変わったのかしら…)
不思議に思いながら最終日ということはすぐ用意しないと間に合わない、と
思いユキは南部に連絡を入れた
<ユキさん、みんながいなくなってちゃんと甘えてますか?>
少しハイトーンな南部に
「何言ってるのよ、普段と何ら変わらないわ。それより相談があるの」
<あ、いいですよ?なんなりと申し付けください。>
南部と電話していたが誰かがノックしたのでユキが扉をあけると南部が
ドアボーイを二人従えて戻ってきていた
「南部君、どうしたの?」
ちょうどそこへ進がシャワー室から出てきた
「あれ?南部、忘れ物?」
髪の毛を拭きながらバスローブ姿で出てくると
「入れよ、って南部が借りてる部屋だけど」
そう言って部屋に入るとドアボーイも一緒に入ってきてリビングに荷物を
置いて帰って行った
「南部君、これ?」
「ユキさん、あと二日、どうやって生活するつもりだったんですか?
古代もユキさんの服のこととか何も考えてないだろ?」
「南部君、大丈夫よ。ランドリーもあるし…」
「そこで、これ、着てくださいよ。実は私のいとこがデザイナーなんですが
まったく着ない服がたくさんありまして…ユキさんに似合いそうなの数点
持ってきたので…」
そう言って荷物を開け始めた
「多分、ユキさん細いからモデルの着た後のも着れるはずと思って…で、
さっきの話ですがフォーマルもデザインしてるので明日でも持ってきます
太田も帰ってくるから一緒に来ます」
そう言うとさっさと帰ってしまった
作品名:yamato… 古代とユキ 4 作家名:kei