yamato… 古代とユキ 5
真田はラボに戻るから、と言ってユキの部屋を後にした
「あ…」
何気なく自分の携帯を見てメールが来てることに気がついた
(古代くんからだわ…)
〈さっき電話した時元気なさそうだったけど大丈夫か?
ちゃんと食べろよ?出来るだけ早く戻るけどさっき
南部が太田連れていくって言ってたから多分一緒に
戻れると思う。>
ユキは南部にフォーマルをお願いしていたのを思い出した
(ありがとう…心配してくれてたのね)
さっきまで苦しかった心は進のメールでほぐされていた
古代くん、心配掛けてごめんなさい。
ちょっと寂しかっただけ。大丈夫よ。
お仕事がんばってね。
そうメールを返信するとユキはシャワールームへ向かった
「ユキさぁん、食事しましたか?」
南部が太田を連れてやってきた
「ううん、太田くんがなに食べたいか聞いてからにしようと
思って待ってたわ。帰ってきたばかりで本当は休みたい
ところだと思うのにごめんなさい。お疲れ様。」
ユキが出迎えると
「いやぁ、ユキさんにそう迎えられると疲れなんて吹っ飛んじゃい
ますって。それより大騒ぎですよ。どこの基地に行ってもユキ
さんと古代の話題ばっか。俺なんか地味なヤマトクルーだけど
ずっと二人のこと聞きたがりに囲まれてましたから…」
「太田、何食べる?ここでいいよな?適当に運んでもらうぜ?」
ボーイに荷物を持たせてる南部はそれを受け取るとそのままボーイ
に食事の指示を出して戻らせた
「おじゃましま~す」
太田はそういいながら部屋に入った
「早速ですがユキさん、頼まれてたものです。…あ、サイズピッタリ
でしたね。ユキさんモデル体型だからよくお似合いですよ。
シンプルなのお持ちしました。」
南部はそう言いながらボーイが持ってきた箱を開けた
「うわぁ…」
ユキは思わず声が出てしまった
「皇族のフォーマルもデザインしてるので普通のよりずっといいもの
使ってるし立体裁断で動きやすいのが特徴なんだよね。つまり
ユキさん護衛も兼ねてるから小型コスモガン持つでしょ?
それも考えて5点ほどお持ちしましたので…」
そう言いながら広げ始めた。どのフォーマルも深く濃い色のドレスだけど
上品なサテンの生地でうっすら光って存在感のあるドレスに仕上がって
いた。
「南部くん、いいの?こんな高そうなドレス…」
「ユキさんには悪いんですがコレ、ボツネタなんですよ。ボツネタと
言っても悪くて、じゃないんです。皇族の方が着るには若すぎて
ボツネタになったんですよ。だからこれが世に出たらヤツはおお
喜びですよ。あ、一応了承もらってますから大丈夫です。
コレ、全部1点もの、ですから。」
「でも…」
「こんどのパーティーは地球上の重鎮がくるって聞いています。
こう言ってはなんですが気をつけた方がいいですよ。今少し
全てが浮かれ気味です。我々にも別の任務が(護衛)言い渡される
と聞いています。」
ユキは仕事の顔になった
「だから敢えて制服組を減らし護衛の数を少なく見せて一気にテロを
ひっかけようとしてるみたいなのでユキさんにもフォーマルで出席、
ってなってるみたいですよ。古代も太田もきっと護衛の連絡が入る
はずだ。」
「でもみんながいるなら心強いわ。万が一の時は長官をお願いね」
ユキの顔は笑っていなかった
作品名:yamato… 古代とユキ 5 作家名:kei