yamato… 古代とユキ 5
「今日も秘書殿は休暇のようだな」
伊藤が食堂でつまんなさそうに食事をする大崎を見つけて声をかけた
「んあ?らしいな。」
大崎は伊藤と目を合わせることなく食材をつついていた
「まだ諦められないのか?女々しいヤツだな。」
伊藤は食事のトレイを大崎の横に置き座った
「お前の後輩のヤツに彼女の居場所を吐かせろよ」
ぶしつけに伊藤が言うと
「そんなプライベートな事聞けるわけないしそんなの上司命令で出せる
わけないだろ?お前本当におかしいぞ?冷静になれよ。今、そんな事
考えてる暇ないだろ?護衛のポイント処理、すんでるのか?お前の
部署が任されてるんだろ?人振りを。適材適所に人をおかないとヤバ
い事になるぜ?悪いことは言わない。ヤマトクルーをできるだけ会場と
VIPの部屋に集めることだ。あの人達は普通じゃないから何かが起きて
もしっかり対応してくれるはずだ。」(伊藤)
「俺だって士官だ。それなりの対応はできる」(大崎)
「お前実戦に参加した事あるか?目の前で争い事が起きてる時に抑える
事ができたか?暴動が起きたときだってお前指令室にいただけだろ?
現場の事知らなさすぎる。」(伊藤)
「俺は長官室に待機する。」(大崎)
「バカだなぁ、そんなところにいてどうするんだよ、全くなに考えてるんだか
本当に頭冷やせよ。」
伊藤は大きなため息をついた
「せめてクルーらが行っちゃってたらなぁ…」
大崎がつぶやくと
「クルーがいないときに何かが起きてみろ、お前絶対始末書もんだぜ?
長官室には相原を置け。何が起きても連絡をどうにかして取ってくれる
あいつに任せておけば間違いない。お前がいる、いないは余り関係なさ
そうだが俺があいつを送り出すからな、わかったな?」
伊藤が余りに強く言うので大崎は仕方なく
「わかったよ、相原、だな?しょうがねぇなぁ…長官室にはクルーを入れたく
なかったのによ…」
ブツブツいう大崎に伊藤は
「仕事に私情を挟むな。海外で行われてる行事にテロが実際起き始めてる
もし起きて鎮圧できなかったら“日本はヤマトだけ”って言われるんだぞ?
俺達も…できるってところを見せないとダメなんだ。ヤマトにおんぶにだっこ
はごめんだからな!」
大崎の反応の悪さにイライラしながら伊藤は食事を始めた
「相原は特別訓練を受けている。通信だけじゃなく護衛としても使える。
長官を守るのに森さんと二人いれば大丈夫だろう。」
大崎は納得していない様子だが伊藤に言われるとイヤと言えず渋々了承した
のだった
作品名:yamato… 古代とユキ 5 作家名:kei