yamato… 古代とユキ 5
「…そう言えば一度も言った事がない三浦の地下都市の部屋へ
行きました。守さんは何度か言ってたみたいですが古代くんは
初めてだって言ってました。」
ユキがそう答えると
「進君はご両親が犠牲になった事認めていなかったんだ。でも
今は全てを飲み込んでご両親の事を乗り越えようとしてる。
森さん、私は心療内科でないからうまくアドバイスできないが
進君はとても苦しいと思う。でもあなたいるからきっと13歳の
進君を昇華しようと頑張ってるんだと思う。
私からもお願いする。あなたに辛い思いをさせてしまいますが
一緒に乗り越えてあげてください。きっと近いうちに進君は
昇華できると思います。多分看護師としての資格があなたを支え
るはずです。体の病を治せても数人は心の病が治りません。
でもどちらも病気なので絶対治るんです。でもそれには周りの
理解が必要です。進君は今心の病気を治すために戦っています
ただ聞いてあげてください。進君の心の声を…」
モリタの言葉にユキはだまってうなずいた
「ありがとう…進君は幸せなんですね。あなたは幸せですか?」
ユキは急に自分に振られて驚いたが
「私はあなたにもちゃんと幸せになってほしいと思います。進くんは
とても優しい子です。争い事が大嫌いだったと守さんから聞いて
います。おそらく…森さんはわかっていると思いますが…」
ユキは真っ赤な目でにっこり笑った
「そうです、辛いかもしれませんが進君のために笑っていてあげて
ください。きっと森さんも幸せになれると思いますよ。」
モリタがそう言いながら時計を見ると11時半を過ぎていた。隣の建物
とはいえ遅刻するわけにいかない。モリタの視線にユキもつられて時計
をみて慌てて
「モリタ先生、すみませんでした。お疲れのところ…私、また来ても
いいですか?」
ユキが立ち上がりながら聞くと
「もちろんですよ。ぜひ来てください。ヤマトの中の事とかいろいろ
興味あったんですよ。佐渡先生の話も聞きたいし…」
モリタはそう言いながらいろんな話をしながら中央病院と防衛軍の連絡
通路まで一緒に歩いた
「すみません、こんな所までお見送り頂いて…」
「いえ、私と一緒だとあなたも誰かわからなさそうだと思って…」
「お気遣いをありがとうございます」
ユキはそこまで考えていなかった
「それでは失礼します」
モリタはそう言って戻って行った
(いい先生だわ…カルテの様子からみて古代くんに何かがあったら
大変な立場にいたでしょうに…患者さんのことをきちんとわかって
くれる先生なのね…)
普通に出勤すると記者がいたがここから入ると誰もいないことを知った
「おはようございます。長官、二日間も休暇を頂きすみませんでした」
定時の12時に藤堂は長官室にやってきた
「ユキ、おはよう。玄関はたいへんなさわぎだったが大丈夫だったか?」
藤堂が聞くと
「中央病院の地下通路経由で来たら大丈夫でした。」
ユキがにっこり笑って言うと
「それは気付かなかったな。・・・では早速だが・・・古代から聞いてる
と思うんだが…」
ユキはうなずくと
「はい、伺っています。長官には相原くんと大崎さんが付くと。」
「そうだ、で、会議所、パーティー会場などすべてヤマトの乗り組み
員らがそろう予定だ。これならユキも安心だろう?」
「はい、万が一に備えるには彼ら以上の戦士はいないと思います」
「ははは、絶対的な信頼だな。うん、ユキが言うだけに間違いない
だろう。もうすぐクルーが来る。しっかり打ち合わせしよう」
ユキは長官にコーヒーを入れようと立ち上がった
作品名:yamato… 古代とユキ 5 作家名:kei