yamato… 古代とユキ 6
〈エアポートで事件発生〉
司令部で詰めていた責任者らのもとに一報が届けられた
(来たか…)
一番狙われやすいところをやはり狙ってきたと進は思った。
〈ヒューマロイド型ロボットによる発砲。秘書の
森さんが軽いけがをし病院に搬送中〉
みんなの視線が一気に進に向けられた
(ユキ…)
丁度そこへ進の通信機が鳴った
「加藤!」
〈古代、すまん〉
「…いったい何があったんだ?」
〈SPの後ろにいた普段警備するためのアンドロイドが
いきなりレーザーガンを撃ってきた。ユキさんがそれを
察知してファーストレディに覆いかぶさって…そのまま
地面に伏したから右腕を負傷してしまったんだ。前に
けがしたところだろ?長官が念のため、と言って佐渡先生
のところへ向かうように、って。今相原がついてる。〉
「他にけが人は?」
〈いや、ユキさんだけだ。ユキさんを守れなくて本当に
済まなかったと思ってる。〉
進は大した怪我じゃない事で安心すると
「ユキは大丈夫だ。今相原が一緒なんだろ?わかった。
この後は予定通り動いてくれ」
進はそう言うと加藤からの通信を切った
「古代、ここはいいからユキのところへ行ってやれよ」
島がそう言ったが
「いや、勤務中だ…私情は挟めない。きっとユキは大丈夫だ」
また進の通信機が鳴った
〈古代、悪かった…連絡来てるか?〉
「あぁ、さっき加藤から連絡が来た」
〈そうか…今佐渡先生が診てくれてるんだけどすりむいては
いるけど骨に異常はないそうだ。倒れたところがたまたま
絨毯とアスファルトの切れ目で半分アスファルトだったも
んだから出血しちゃってて…本人、気持はしっかりしてる
から安心して。本人から連絡させようと思ったんだけど
仕事だから、って連絡しないんだよ。あ、私は仕事で連絡
しておりますので…それでは病院出たら一度司令部に戻り
ますのでもう少しお待ちください〉
一方的に通信は切れた。進は最初の緊張感バリバリの顔から少し
和らいでいた
〈心配なら心配って言えばいいのに〉(太田)
〈ほんとだよな、意地っ張り!〉(島)
コソコソ話をしていたら通信機を切った進に頭をこずかれた二人
だった
「ロボットか…」
真田は痛いところを突いて来たなと眉間にしわを寄せて考えた
「真田さん…」
真田はふとひらめいて
「アナライザーで点検させよう。普通と違うプログラミング
されてしまったロボットを排除しないとここは無理かもし
れん。アナライザーを呼んでくれ」
太田が“了解”とうなずくとアナライザーを呼び出した
「ご心配おかけしました」
ユキが本部に戻ってきた。長官はすでにホテルに引き揚げていたので
電話で連絡を取るとそのまま指令室に戻ってきた。
入るとすぐ厳しい顔をした進の顔が少し和らいだ
「大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。すみません、今後の予定に差し支えて
しまいましたよね。」
「いや、今日は大丈夫だ。明日の仕事に支障なないな?」
あくまでも上司として接する進
「はい、大丈夫です。」
そこへ南部が大きな箱を持ってやってきた
「ユキさん、大丈夫ですか?けが、どうですか?」
ユキの右腕は目立たないよう肌色に近いテーピングが巻かれていた
「…ちょっと痛々しいですね…実は今日お届けしようと思った
んですが腕を少し隠した方がいいかと思って一度持ち帰り
ます。いとこには連絡取れてるから…パーティーまでには
出来上がりますから…」
「南部くん、ごめんなさい。」
「お安いご用ですって。すみませんが私定時で上がります。」
南部はそう言って走って出て行った
作品名:yamato… 古代とユキ 6 作家名:kei