yamato… 古代とユキ 6
会議は順調に進み午後の3時頃には決意表明が全員から発信された
(終わったわ…さて、一度長官室に戻って着替えないと…)
記者会見が終わり写真撮影が済むとユキは藤堂と相原と大崎と一緒
に一度長官室へ戻った
「長官、お疲れさまでした。」
藤堂は長官室に入ると自席に座らずソファーに身を沈めた
「ユキも疲れただろう?でもユキは準備があるな。お茶なんて
いらないから用意しなさい。」
藤堂の一言でユキは“済みません”と言うと秘書室へ戻って行った。
相原がそれに続く。
「相原くん、ごめんなさいね。一緒にくつろぎたいでしょう?」
「いえ?私はユキさんを守るためにここに派遣されてますから
大崎が近づかないようちゃんと見てるのでゆっくり着替えて
大丈夫ですよ。パーティーまで時間はたっぷりあるんですよ
ね?ヘアーメイクさんも来るんでしょ?」
相原はしっかりユキの行動を予定表に入れていた
「実は頼もうと思ったんだけど警備上大変そうだからやめて自分
で結う事にしたの。帽子の中に髪の毛入れるくらいのお団子
作れば問題ないし…」
そう言うとにっこり笑って奥の部屋に入って行った。
長官室と秘書室の扉はあいたままで藤堂と大崎の話声が聞こえる。
(長官が相手しててくれる間は心配ないかな)
そう思いつつも相原は秘書室の小さな応接セットのソファーに座る
と何を話してるのか聞き耳を立てていた
30分ほどしてユキはドレスアップして出てきた。
「とてもお似合いですよ。さすが南部だな。」
相原が見とれながらつぶやくと長官室から大崎が出てきたがユキの
余りの美しさに言葉を失ったようで何も言えず立ったままぼーっと
ユキを見ていた。すぐ後ろに藤堂が立っていた
「ユキ、随分準備が早いな。いいのか?念入りにお化粧しなくて
も。きっと今日のターゲットはユキだぞ?」
藤堂が笑いながら言った
「長官、からかわないでください。それでなくても落ち着かない
んですから…相原くん、大丈夫?おかしくない?」
ユキが右と左と裾を気にしながら聞いた
「ユキさん、落ち着いてくださいよ。せっかくのドレスが泣い
ちゃいますよ?はいはい、キレイですよ、大丈夫ですって。」
その相原の言い方がまた投げやりで藤堂は笑ってしまった
「相原もここぞとばかりに言うなぁ。いやぁ私だってそんなこと
言えないぞ?」(藤堂)
「ユキさんは余り弱点見せないですからね。やり返せない時に
ちょっと攻めておかないと、って思いまして…」(相原)
「相原くん??????」
ユキの少し低い声が相原をますますおちゃらけさせる
「まったく…」
ユキがそう言いながらもう一度奥の部屋へ入って行った。
(なんてキレイなんだ…その辺のモデルなんて目じゃない…)
ユキがいなくなったのに大崎はボーっと突っ立ったままだったが
「どうした?大崎?ユキに見とれたか?」
藤堂が笑いながら声をかけると
「いや…前から思っていましたが本当に美しい方だな、と…」
思わず本音が出てしまった
「ユキはきれいなだけじゃない。ずっと一緒にいてわかったと
思うがね…今日は私はユキの引き立て役だ。」
藤堂はそう言ってソファーに深く腰掛けた
しばらくするとノックの音がして
「島です。お迎えにあがりました。」
最後のパーティー会場への移動する時間が来てお迎えがやってきた
長官室の扉を開けたのは相原だった
「お疲れさん、準備は出来てるか?」(島)
「OKです。」
相原がそう言うとユキの姿がすぐ後ろに見えた
「おぉ~ユキ、今日“は”きれいだな」
島がからかうように言うと
「もう、その“は”はいらないわ!」
そう言いながらもユキはにこやかに笑っていた。島はそこで右手を
差し出すと
「はいはい、お嬢様、準備はよろしいでしょうか?」
と言ったのでユキも右手を乗せると
「えぇ、よろしくてよ?」
そう言って長官室から出て行った。ユキがでると藤堂が出て相原と
大崎続けて出てSPがカギを閉めた
「どう?様子は?」
エレベーターに乗るとさっきの空気は一変した
「あぁ…何とも言えないな。」
ユキは仕事の顔に戻っていた
作品名:yamato… 古代とユキ 6 作家名:kei