yamato… 古代とユキ 6
「今回はVIP中のVIPが揃うが人数が少ないだけまだいいかもしれないな」
島がそうつぶやくと
「そうですね、これで大人数、となったらもっと信用できない連中が増える
から大変度がちがうでしょうね。」
南部もため息をひとつついた
「何とか3日間を乗り切らないといけませんね。真田さんも責任重大だ。
でも長官の一言で責任者が大崎さんから真田さんに変わったような
もんだからなぁ。でもちょっとほっとしてるのは俺だけじゃないよね?」
太田が確認するように全員の顔を見た。誰もが苦笑いしながら食事をしてる
「実は…な。なんで責任者が大崎なんだ?って思うんだが…まぁいろいろ
経験しないと偉くなれない、って事なんだろうけど…」
南部が付け加える
「それよりなんだか空気、おかしいよな?」
島が厳しい顔つきで言った。誰もが否定せず厳しい顔つきになった
「真田さんは何となくわかった感じだったけど…」
相原がそうつぶやくと
「あぁ…ヤマトの乗組員それなりに何か違和感を一緒に感じてくれてれば
いいんだけどな…まぁ真田さんの事だからそれとなくうまくやってくれる
と思ってるんだが…」
おそらく本部から来た人間は使えないだろうと想定すると持ち駒は半分くら
いまで落ちてしまう。そこでうまく連携が取れるか…それが問題だった
「全く…人を馬鹿にしてるとしか思えない…長官も長官だ!若造ばかりの
ところに私を連れていくなんて!俺だって軍の訓練を受けてきた。ヤマト
に乗り込まなかっただけだ…絶対あいつらなんかに負けない…」
まだ勤務時間中なので大崎はひとりごちた
「よう」
伊藤が来ていた
「またお前かよ・・・」
うんざりした感じで大崎はデスクにくるりと背を向けて伊藤の方を向いた
「森さん、どうだった?お前なんか眼中ないって感じだっただろ?」
伊藤の言ったとおりだったがそれを認めるのも悔しかったので
「ンなわけねぇだろ?ったく…俺は責任者だぜ?今回ばかりはヤマト
の連中より偉いんだ」
そっぽを向きながら答えると
「まぁいいさ。これが終わったら今よりもっと親密になって食事…いや、
それ以上の何かがあるかもしれない。」
そう言って笑った。
「お前ってそんなにあきらめ悪かったっけ?やめとけ、やめとけ。
お前が恥ずかしい思いするだけだぞ?」
伊藤はそう言ったが大崎は全く聞く耳を持たなかった。
「みんながいなくなると部屋がとても広く感じるわね」
食事がすんで仕事の話が終わると二人を気遣ってみんなそうそうに帰って
行った。シャワーも浴びて後は寝るだけ、となりソファーでくつろぎながら
なんとなくテレビを観ていた。ニュースは相変わらずで二人の事を探して
いるがどこから入ったかわからないが司令部で仕事をしてたとなるとどの
経路で通勤してるのかが問題になった
「そんなのどうでもいいじゃないのよねぇ?」
クスクス笑うユキに
「確かに…」
進はそう言うとそっと抱き寄せた
「ずっと大崎と一緒だったんだろう?」
「うん…でも相原君がずっとそばにいてくれたわ。」
ユキが進の腕の中で答える
「俺がついていてあげられたらどれだけ心配事が減るのか、って考える
ときりがなくて…」
「古代くん、大丈夫よ…ほんの数日だけだもの…」
小さな子をなだめるようにユキが言った
「違う…違うんだ」
進の中に芽生えた嫉妬心がユキを独占したい気持ちを増幅させる
いつもの優しい声の進と違った
進はただ強くユキを抱きしめることしかできなかった
作品名:yamato… 古代とユキ 6 作家名:kei