yamato… 古代とユキ 7
「ここにいるのは両親が遊星爆弾で死んじまったやつばかりさ。行き場をなくして
吹き溜まりで一緒になってよ…悪い事たくさんしてきたさ。ヤマトのおかげで
遊星爆弾は落ちてこなくなった…でもそれでよかった、じゃねぇのさ。お国はその
後始末をしてくれねぇ…」
リーダー格の男の眼光が鋭くなった
「古代一人で“手柄をたてました”って顔してるのを見るのがムカつくんだ。古代
だけじゃねぇ、あの真田ってやつも同じだ。ヤマトにはいい武器積んでその前
の戦艦には大した武器載せられなかったじゃないか。死にに行くようなもんだ
って…真田も死神だ…俺の友人が何人死んで行ったか…」
話しながらユキの前に座ると
「あんたの周りには死神がいっぱいだ。今すぐ婚約破棄すればあんたは死なずに
すむはずだ。」
そう言ってユキのあごを持ったがユキの眼光は男より鋭かった。男が一瞬ひるむ
「余計な御世話だわ。」
男の手を振り払ってユキがはっきりそう言った
「私は元看護士…だから分かるわ。」
ユキが立ち上がると人質を囲っていた男4人が一斉にレーザーガンを構えたがリー
ダー格の男がそれを制した
「あんたに何がわかる」
ユキの様子を見て男は少しいらついた様子だった
「誰だって死にたくない…その気持ちがどれだけ強いか、で随分違うのよ。
古代くんはその気持ちが普通の人より強かっただけ。」
ユキの言葉に男が食ってかかった
「じゃぁ俺の弟は弱かった、って言いたいのか!」
ユキは冷静に言った
「私は何も言っていないわ。今あなたが答えを出したのよ。」
男が言い返せずにいると
「真田さんもそう…誰も死なせたくない、という気持ちが今の武器を生んだ…
私たちは誰の暴力にも負けない…こんな卑怯やりかたに負けない!」
「ほう…どうするのか?」
男が笑いながらそう言った瞬間ユキはハンカチをリーダー格の男に投げつけ男がひるんだすきに隠していたコスモガンを右手に取るとその男をはがいじめにした
とその時
3か所の扉が一斉に開いた。
「お疲れさん」
長官室の秘書室に先に戻ってきていたユキに後から戻ってきた藤堂が声をかけた
「お疲れ様です。」
ぼんやりしていたユキは慌てたようすだったが
「いいよ、疲れただろう…もうすぐ古代がくるから一緒にホテルに戻りなさい。」
藤堂がやさしく声をかけた
「でも…」
ユキが何か言いかけたところでノックの音がした
「古代です」
そう言いながら敬礼して長官室に入ってきた
「すみません、遅くなりました」
「いや、私も今戻ったところだよ。ユキを頼むな。」
「はい、連れて帰ります」
進はユキの手を取ると“ほら、帰るよ”と言いながら敬礼して長官室を出た
「長官、お呼びでしょうか?」
二人が帰った後真田と相原が呼ばれた
「今日は助かったよ。ありがとう。」
藤堂が二人の労をねぎらった
「でもどうやって連絡を取り合ったんだ?」(藤堂)
「ユキのおかげです。ユキが突入のタイミングをしっかり伝えてくれましたので。」
真田が藤堂に伝えると
「相原、ひょっとして?」(藤堂)
「はい、モールス信号です。こちらからユキさんへ伝えることはできないのでこちら
はユキさんの動きに合わせていました。ユキさんが男を挑発するから…で、通信
機を叩きつけたらそれが合図、って。」(相原)
「ほう…」(藤堂)
「タイミング、バッチリだったですね。ちょっと怖かったですが…」(相原)
「ユキが護衛にも充分です、といったの証明できましたね。」(真田)
「あぁ、すごい女性だよ…」(藤堂)
藤堂は深くソファーに座りなおすと何度もうなずいた
作品名:yamato… 古代とユキ 7 作家名:kei