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yamato… 古代とユキ 7

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  「大変だったな…」

南部はあてがわれたホテルではなく父の経営してるホテルにいた。

  「何かある、とは思ったが…」

島は大きなため息をついた。大きなソファーにどっかり座った男が6人
南部と島、太田と相原といつものメンツに付け加え加藤と山本がいた

  「しっかしユキさんすげぇよな。やっぱり普通じゃねぇな。」

加藤がそうつぶやいた。加藤も踏み込んだうちの一人。




あの時…




羅針盤を耳にあて扉の裏で様子をうかがっていた。羅針盤を持っている
のは進、島、加藤、山本、太田、南部だ。相原と真田は本部で詰めてい
るので扉の裏にはいない。扉は3つ。二人ずつ扉の裏に背を当ててその
時を待っていた


一瞬風を切るような音がした直後大きな音がした。しかし全員大きな音
の前の風を切る音がした瞬間に踏み込んでいた。


ユキがハンカチをその男の顔に投げた瞬間足に付けていたコスモガンを
取り男がハンカチに目を奪われてるうちに低い体勢で男の足元に入り込
みうまく男を仕留める事が出来た。

他に9人の男がいたがユキの一瞬の動きにあっけにとられ動けないでい
るところを6人が踏み込んで来たので鎮圧できた、のだった。


  「本部はなにも見えなかったから報告がくるまで祈るような気持だったよ。
   多分真田さんも同じ気持ちだったと思う。」

相原はユキが投げつけて壊れてしまった通信機を持っていた。投げつけた後
大勢で踏み込んだから何人もの人に踏まれて壊れてしまったんだろう、布の
部分が薄汚れていた

  「モールス信号、役に立ったな。今度教えてもらおうかな。」(島)
  「何に使うんだ?」(南部)
  「あ、戦闘班の悪口!」(太田)

太田はピンと来たようで島の顔を見ながらそう言ったがしっかり南部が頭を小突いた

  「しかし二人ともぐったりだろうなぁ…」

南部がため息交じりに言うと

  「ヤマトの事を出されたら何も言えないよな…戻ってきたから言えるけどひょっとし
   たらガミラスにやられて…って可能性の方が高かったんだからな。」(島)
  「ユキさん、明日の予定は?」(太田)
  「明日は見送りがある。お昼ぐらいから出発するから一日エアポートかな。」

相原が“もちろん自分と加藤と山本も一緒”と付け加えた









  「ユキ?」

疲れたのかそれとも進が横にいる事で安心したのかユキは進にもたれかかったまま
寝息を立てていた。呼んでも起きないあたり熟睡してしまったようだ。

進はそっとユキを抱き上げるとベッドルームへ運んでブランケットを掛けて部屋を出た

  (俺もシャワー浴びて寝るか…)

銃撃戦にならなかったが何となくだるさがあった

  (俺も疲れたか?)

進はもう一度ユキのベッドルームの扉を開けてユキの寝顔を確認した。もうイスカンダ
ルの帰りの時を思い出す事はほとんどなくユキの寝顔を見てても辛くなくなっていた

  (明日は俺もエアポートに詰めさせてもらおう…)

そう思いながら進はシャワー室へ入った








  「こないで!」

夜中、ユキのベッドルームから大きな声が聞こえた。進は慌ててベッドルームに
入るとユキが誰かに追い詰められてるかのように壁際にいた

  「ユキ?」
  「こないで!いや!」

ユキはそばにあった枕を進に向かってではなく正面に向かって投げた

  「いやぁ!」

今度は自分を抱え込みながら叫び始めた。進はベッドに上り小さく抱え込んだユキ
の体を上からそっと包んだ

  「ユキ、俺だよ、俺。」

進の声に一瞬動きが止まった

  「どうした?夢でも見たか?」

ユキははっとして進の顔を見た

  「古代くん?」

ユキの眼は真っ赤だった

  「古代くんしかいない?」

いつもの凛としたユキではなくまるで何も知らない少女のような問いかけだった

  「あたりまえじゃないか。ここには俺とユキしかいないよ。誰もいないし誰も来ない
   なにが怖かったんだ?」

力の抜けた雪をそっと抱きしめながら進が聞いた

  「あの男の眼がね…岡本さんと同じだったの…とっても怖かったんだけど怖い、
   なんて言ってる状態じゃなかったから…で、夢に出てきたのね…怖かった…
   夢じゃないみたいに襲いかかってきて…夢の中の私はなにもできなくて…」

ユキは涙を流しながらひとつひとつ言葉を紡ぐように話した。進はそれをうん、うん、
とうなずきながら聞いてやった

  「そっか…辛いなぁ…でも大丈夫、夢だから…そばいいるし。」(進)
  「でもまた寝たら同じ夢見ちゃうかもしれない…」(ユキ)
  「ここにいるから…」

進はユキが寝付くのを待った






作品名:yamato… 古代とユキ 7 作家名:kei