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yamato2  それから 1

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  「ユキさんって…本当にすごい人だな…」

南部が何気なくつぶやいた。進は黙って聞いていた

  「何もかも…お見通しだな。古代の事も全部見えちゃってるんだろうな。
   俺さ…目が覚めた時自分が生きてる、って感覚が全然なくて…死んじゃっ
   たんだ、って思っちゃったんだよ。佐渡さんが必死の形相で看護士に指示
   出しててアラームはあちこちで鳴ってて…あぁ、ドラマとかドキュメン
   タリーとかで見たことある、って思ったんだ。ちょっとして静かになっ
   た、って思ったら両親が心配そうに近づいてきて俺の手を握ったんだ。
   そしたらめちゃくちゃ冷たいんだよ。多分母親だったんだろうな。泣き
   ながら握ってくれた手はすごい冷たくて…それで俺は助かったんだ、
   って判ったんだ。だけどヤマトがどうなったのか…誰も教えてくれない。
   ヤマトがいたから戦えた…だから…」

南部はブランケットを握りしめて泣いていた

  「ヤマトは入院中の真田さんが修繕計画するんだ。ヤマトは飛ぶ…
   ヤマトの砲手を他人に任せたくないなら…早くけがを治せ…俺も南部以外の
   ヤツを第一艦橋に置くつもりはない。」

進は厳しい口調でそう言ったがすぐに表情を崩し

  「南部…済まなかった。俺が様子を見に行くよう指示しなければこんな
   酷いけがをすることもなかったんだ…俺が…死の淵に追いやったんだ。
   本当に済まなかった…許してくれ。」

進が南部に頭を下げると

  「古代…いや、艦長代理…あれは戦闘中です。」

南部がヤマトに乗っている時と同じ顔になった。

  「それ以上言うと上官とはいえ許される言葉ではありません。お引き取り
   ください。」

進はその刺さるような南部の視線に負けそうになったが

  「南部…そうだな。あれは戦闘中だ…つい私情が入ってしまってすまない…
   ただ…」

進は我慢できず涙が溢れてきた

  「山本と…加藤が…予備生から一緒だった二人が…もう、誰も失いたく
   ないんだ。だけど南部が意識不明って聞いた時…様子も見に行けなくて
   何もできない自分が…情けなくて…頼むから………」

進はもう言葉にすることができなかった。南部も進の気持ちが痛いほどわかった

  「…わかったよ、艦長代理。俺、しっかり治すから…しっかり治してヤマト
   に乗るよ。それでいいんだろう?本当に世話の焼ける上司だな…ちゃんと
   した部下じゃないと務まらないよな…。」

南部の眼からも涙が流れていた。



  「古代くん、大丈夫かな…」

ユキは隣の病室との壁をじっと見つめていた。余計なこと、言わなかっただろうか…心配は尽きなかった。と、そこへ通信機が鳴った

  「はい、森です。」

相手は長官だった。ユキは敬礼しながら出ると

  <どうだ、体調は?>

藤堂は心配そうに聞いて来た

  「気持ちは元気なのですが…」

“なんともないと言えばなんともない”体調をどう伝えたらいいのかわからないユキだったが

  <すまんな、佐渡さんからユキの状態は聞いている。今は復興計画が実行
   に移るところだから急を要する事はない。ゆっくり休みなさい。>

ユキは自分がなくても藤堂の周りがしっかり稼働してる事が“自分を必要とされていない”ことのように思えて仕方なかった

  <今、臨時の秘書で伊藤と一緒だ。相原の上司になるのか?まぁユキは
   真田くんが詰めてくれてるヤマトの修理が終わったらまたヤマトの勤務を
   予定してるからそっちを詰めてほしいのだよ。病院内で動くならドクター
   も反対できないだろうし…そこでメインクルー同士で訓練内容など
   詰めてもらえればこちらとしても助かるのだ。後でメインクルーには
   それ専用の端末を届けさせるから…あ、そちらで話し合ったものは私に
   報告だけしてもらえればよろしい。特に訓練内容とかで口出すつもりも 
   ない。ただ、必要最低限してもらいたい訓練だけはメールで送るので
   と古代に伝えてほしい。」

ここまでは業務連絡のようでいつもの藤堂だったが

  「ユキ、今回の任務、ご苦労だった。“古代が下りるというまで離れるな”
   と言う任務をユキは最後までやり通した。ユキのおかげで古代は…ヤマトは
   地球に帰還できたと言っても過言じゃないと思う。本当にありがとう。
   ヤマトに対して世間は追い風だが防衛軍としては向かい風だ。そこで私は
   しばらくヤマトを地球から遠ざけてほとぼりがさめるのを待とうと思う。
   それがこの繰り上げ卒業生を連れての遠征の本当の理由だ。」

   
作品名:yamato2  それから 1 作家名:kei