二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

yamato2  それから 1

INDEX|3ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 

  「ユキ!」

ユキは自分を呼ぶ叫び声で起きた。

  「お母様、お静かに…他にもお休みになられてる方がいらっしゃいます。」

ユキは重たい瞼を開いた。間接照明が付いていて天井が高く…そこに自分を覗き込むように見ている二つの顔がぼんやり見えた。

  「「ユキ!」」

ユキの両親だった。ヤマト帰還の知らせを受け中央病院へやってきたのだ。

  「パパ…ママ…」

ユキが焦点の合わない目を細めてそうつぶやくと

  「あぁ、判るのね…よかったわ。検査中気を失ったって聞いて…よかった
   生きて帰って来てくれて。どこか痛いところはない?ドクターは大丈夫って
   言ってたけど…早く退院して家に帰りましょう?」

ユキは母親の言ってる事が理解できないでいた

  (私…どうしちゃたのかしら…採血したところから記憶がないわ)

困惑してるところへ看護師が

  「ユキ、大丈夫?…ユキさん、ちょっと混乱してるみたいですね。すみませんが
   今日はご両親様には申し訳ございませんがお引き取り頂いて…ドクターの診察
   通りユキさんには入院して少し経過を見る必要がありそうですね。」

看護師の言葉に

  「まぁ、帰れっていうの?ここ泊まれるんでしょう?私、今日泊まるわ!
   ユキは一人娘なのよ?心配で…心配で…」

母は泣き出してしまった。ユキはまだぼんやりしていて何も考えられない

  「母さん、今日はユキも疲れてるから寝たいって…今日はそっとしておこう。
   無事なの見れたじゃないか。明日、また来よう…。(看護師を見て)
   すまなかったね。…ユキをおねがいします。ユキも今日はゆっくり休み
   なさい。お母さんは連れて帰るから…」

父は母を支えるようにユキの部屋から出て行った。

  「ユキ?大丈夫?気分悪そうね。採血中声かけたら反応ないんですもの…
   焦っちゃったわ。呼吸も浅いし…検査もそこそこでここに運んだの。まだ
   検査中、って事よ。点滴は栄養剤と鉄。普通の人の半分しか鉄ないんです
   もの…死んじゃうわよ?無理してたら…まぁユキの事だからどこまでが
   無理なのかわからないんだと思うけど…ねぇ、私よ?覚えてる?さやか
   よ。時々研修で一緒になった…」

ユキは同僚のさやかの言葉をぼんやり聞いていたが我に返り

  「ねぇ…古代くんは?大丈夫だったの?今、どこにいるの?」

さやかの手を掴んで聞いてきた。さやかはあわてて

  「え?古代さんは…向かいの…」

そう答えた瞬間ユキはベッドから降りてドアに向かったが足に力が入らずその場に崩れた

  「ユキ、だめよ…ほら、点滴ぬけちゃったじゃない」

さやかがため息をついてベッドに戻そうとするがその手を振りはらい立たない足を引きずりながら這って扉に向かい始めた。

  「もう…しょうがないわねぇ…」

さやかはもう一度大きなため息をつくと“ベッドに縛り付けておきたいわ”と言いながらユキを支えて病室を出て正面の部屋に入った。

  「ノックしないの?」

ユキの問いに

  「薬で眠らされてるわ。大丈夫よ…ほらね?よく眠っているでしょう?」

ベッドサイドで見ると進は静かな寝息を立てていた。

  「ほら…ユキ、病室戻ろう?」

支えていたさやかが戻ろうとしたがユキはその手を振り払った。

  「古代くん、どこか行っちゃう…一人にしちゃいけないの…。」

まるで小さな子供を見るような眼でユキは進を見た。

  「そんなことないわ。足にボルト入れる手術したし…見て?ギブスしてる
   でしょう?当分動けないわ。」

さやかはそっと進の布団をあげてユキに見せた。進の足はメッシュのギブスで固定されていた。

  「それに…点滴見て?一番強い鎮痛剤よ。コレ、睡眠誘発剤も入ってる強力
   なやつ。朝まで起きないって。だからユキ戻ろう。」

ユキはそれでも進のそばを離れようとしない。

  「ごめん、さやか…しばらく古代くんのそばにいさせて。」
  「ユキ…私が決められることじゃないわ…ちょっと待ってて…」

さやかがドクターの指示を仰ごうと思った時声をかけられた

  「森さん、無理しちゃだめだ、ってうちの看護師言ってるでしょう?」

ユキは聞き覚えのあるその声に反応して振り返った



作品名:yamato2  それから 1 作家名:kei