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yamato2  それから 1

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  「モリタ先生…」
  「悪いけど隣から森さんの点滴持ってきてくれる?」

モリタはさやかにそう告げるとさやかは進の病室を出て行った。

  「親御さんが来た、って聞いてね…起きちゃったかなぁと様子を見に来たんだ
   よね。そしたら森さんいないからひょっとして…って思って。進くんが
   そんなに心配かい?森さん、今にも死にそうな顔してるよ…大丈夫、進くん
   はちょっとひどいけがをしてるけどちゃんとケアすれば元通りだよ。ただ
   炎症を起こすとやっかいだからね。進くん、熱が上がると高熱になって
   なかなか下がらないから…。まぁ昔に比べると体力も付いたし大丈夫だけ
   ど無理してる分弱いところに出てしまうから大事をとりたいんだ。だから
   森さんも無理しちゃだめ。(さやかが点滴を持ってくる)…ありがとう。
   今日は特別に点滴ここでしようか。口内炎ができてるでしょう?かなり
   重症だからちゃんと治療しないとね。」

さやかがユキの右腕を取って点滴をした。

  「簡易ベッド、一つ横につけてあげてくれるかな。」

モリタがさやかに指示する。

  「わかりました。…ユキ、ちょっと待っててね。大人しく待ってるのよ?」

さやかはそう念を押すとモリタに会釈して進の部屋を出て行った。




  「大変な戦いだったね…。ありがとう。」

突然モリタがユキに向かってお礼を言った。

  「先生…」
  「藤堂長官がさっき記者会見していたよ。この戦いの責任は私にある、と。
   降伏を覆させたのも自分だ、と…。私たちは一般市民だからよくわからな
   いが上の考え方ひとつで自分が奴隷になっていたかもしれないと思うと
   恐ろしくなってしまうよ。藤堂長官とヤマトの判断は正しかったと私は
   思う。」
  「長官が…記者会見を?」
  「そう…全て話していたよ。ヤマトが謎の攻撃を受けていたこと、そして
   謎の通信を傍受していた事…反逆罪を背負ってヤマトが出航した事、その後
   きちんとした任務が与えられた事もね。最後に“初動ミスは認めざるを
   得ない”と言った。ヤマトが単独で出航したおかげで地球は植民地化を
   免れた、と…。」(モリタ)
  「私たちはイスカンダルへ行ったときガミラスの植民地の星を見ました。
   それは信じられない光景で…地球で言えば人間の生き血を絞りそれを
   ガミラスに送り届ける…ものでした。私たちはあの航海で他人が他人の
   星を征服する恐ろしさを見ました。決してあってはいけない事です。」

ユキの言葉をモリタは静かに聞いていた。

  「そうだね…」

そこへさやかがベッドを運んできて進の横に並べた。

  「じゃぁ森さん、明日検査の続きをするから今日はしっかり寝てね。」

モリタがさやかと出ていくとユキはありがとうございました。と言ってベッドに横になった。手を伸ばせば進がいる。ユキはそっと進の右手を握った

  (暖かい…)

ユキは安心したのかすぐ深い眠りに落ちて行った



30分ほどしてさやかが進の病室へ入ってきた。ユキはうんと左によっていて進の右手をしっかり握っていた。

  「幸せそうな顔して寝てるわね…薬、分からないように別のシール貼って
   おいて正解だったわ。」

さやかは佐渡と相談して進と同じ睡眠誘発剤の入った鎮痛剤(鉄分入り)を点滴されていたが薬の名前で判ってしまうので栄養剤の点滴のシールをコピーで作り貼っていたのだ。

さやかはそっとブランケットを掛けなおすと進の病室を出て次の病室へ行った。

作品名:yamato2  それから 1 作家名:kei