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yamato2  それから 1

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<  「痛てて…」

進は足が痛くて起きたが体が起きずおかしいと思いブランケットを取ると太ももからふくらはぎまでしっかり固定されている足を見た。

  「うわ…痛てっ」

慌てて動こうとしたが今度は胸のあたりを抑えてうずくまった

  「なんだよ、これ…昨日は全然痛くなかったのに…」

進の額には脂汗が出ている。ふとその横を見るとユキが寝ていた。

  「え?なんでユキが?……痛てて…」

進がパニックを起こしているとモリタが入ってきた

  「ノックしたのに返事がないから入っちゃったよ。おや?」

モリタは何となく進の行動が読めたので

  「森さんがね、進君の事心配でしょうがないから、って一晩だけ横に寝かせ
   てあげたの。まぁ婚約者だし問題ないでしょう?それよりすごい痛みが
   でてるはずだよ。新しい点滴挿すから大人しくしてね。」

モリタは終わりかけの点滴の袋を変えて新しい点滴に針を刺した。

  「痛み止め入ってるからそのうち痛みは治まるはず。大人しくしててね。」

モリタが笑顔でそう言うと

  「森さんはね、貧血ひどいんだ。検査の途中でおたれちゃって…だから今日
   検査なんだ。大人しくするように言っておいて。」

そう言ってモリタは部屋を出て行った。ユキの点滴はまだ半分くらい残っている。進は右手でそっとユキの前髪をそろえてやった

  (無理するな、っていつも言ってるのに…もっと自分の事心配しろ、って…)

と、そこへノックの音がした。ノックと同時に真田が車いすで入ってきた。

  「古代…お前…」

真田の顔を進は見ることができなかった。自分を本当の弟のように気にかけてくれている真田を裏切るような形でヤマトに残ってしまった事をどう謝ったらいいのかわからなかった。

  「真田さん…あの…」(進)
  「生きて…戻って来てくれて本当によかった…あのままお前が行っていたら
   俺は…俺は…」

真田はそう言うと進のベッドサイドに来た。進は真田の涙を初めて見た。

  「俺は…守から託されたからじゃなくて…お前を本当の弟だと思って接して
   きたつもりだった…お前がヤマトに残った時…俺は自分の足を呪った。
   普通の足だったら追いかけて…一緒に地球に戻ったのに、ってな。
   頼むから…あんなこと二度としないと誓ってくれ。」
  「真田さん…すみませんでした…本当に…すみませんでした。真田さんが
   そこまで自分を思ってくれてると思ってなくて…」 
  「お前とユキが幸せになることが俺の幸せなんだ…ユキを泣かせるなよ。」

真田がユキをとてもやさしい目で見る

  「お前が病室に戻ってきたら説教してやろうと思ったのになかなか病室に
   来なくて…聞けばオペしてる、って聞いてな…そんな体と知らず…重た
   かっただろう。都市衛星から救い出してくれてありがとうな。」

真田は加藤の顔を思い浮かべたのかつらそうな顔をしたが

  「南部が意識不明の重体だ。他はけがは重傷だが移動は可能だ。あの激しい
   戦闘でシートから投げ出された時に肋骨を骨折して…まぁ肺に刺さってな
   かったから良かったものの…ほとんどがそういうけがだ。」
  「真田さんの体は?」
  「俺か?俺はちょうど接続部分をやられてな…骨を削ったりしないとだめ
   みたいで…ちょっと長引きそうだ。」

真田はお手上げ、というように両手を挙げた。二人で話し声が聞こえたのかユキの眼が覚めた。

  「おはよう、ユキ。よく寝れたか?」

真田が声を掛けると状況がつかめていない様子だったが真田の眼が怒っていたので一瞬何を怒っているんだろうと考えたがすぐに黙ってヤマトに残ったことを思い出しバツ悪そうに布団を頭まで被った

  「解ったようだな?…全くお前たちときたら…俺は二人を確認するまで
   生きた心地がしなかった…余程ドッグで待ってようと思ってたが佐渡先生が
   許してくれなくてな…痛み止め、と嘘つかれて打ってくれた注射のあと
   記憶がなくてな…気付いたら足の治療が終わっていたよ。」

真田がユキのそばに移動した。

  「今、古代に言ったが古代とユキが幸せになってくれないと俺がつらいんだ。
   頼むからこんな事は……」

真田は再び涙が出そうになったのでユキを直視できなくなってしまい視線を反らした。ユキはいままでの事を思い出し涙が溢れてきた。

  「ごめんなさい…ごめんなさい。だって、古代くん絶対残る、って思って…」

泣きじゃくるユキの頭にそっと手を乗せると

  「無事でよかった…大きなけがもなさそうだな。ユキに何かあったらご両親
   が大変そうだからな…な、古代?」

真田は進の顔を見て苦笑いした。



作品名:yamato2  それから 1 作家名:kei