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yamato2 それから 2

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島の意識が戻ったのはすぐクルーに知らされた。家族も駆けつけICUが見えるガラスの廊下は人だかりができていた。

島は周りの様子を見ることなくただひたすら天井を見つめている。家族はICUの中に入れるのですぐそばで手を握り何か話しかけているが島はそれに返事をする様子もなくただ天井を見つめているだけだった。


しばらくすると肩を落とした島の両親と次郎が廊下に出てきてクルーに挨拶した。

  「ご心配おかけしました。意識が戻って…佐渡先生から後は精神的なもの
   ですから焦らずじっくり待ちましょう、と言われました。今日一日ここに
   いて何もなければ個室に移るとの事でした。皆様もお怪我が酷いと伺って
   おります。どうぞ部屋でお休みください…それと、古代くん…」

父は進を呼んだ。

  「はい。」
  「大介を頼む…多分、私たちの手に負えないだろう…家内とも話したんだが
   しばらく…ここに来るのを遠慮しようと思う。およその話は佐渡先生から
   聞いている。ただのケガなら…自宅へ連れて帰って、と思うのだが…
   親なのに…すまないが…。」

父親は涙をこらえて進の手を握った。父の後ろで母親が泣いている。次郎は何が起きたのかわからずユキと遊んでいた。

  「…任せてください…島は、絶対俺らのところに戻ってきます。」

進は力強く父親の手を握るとしっかりなずいた。そこにいたクルーも誰からともなく

  「私たちが付いています。大丈夫です!」

と聞こえてきた。

  「大介はいい仲間と出逢えた…幸せだな…」

父はそう言うと頭を下げて母を支えるようにしてICUを出て行った。次郎だけが笑顔で“またね!”と言って両親の後を付いて行った。










  「どうだった?」

いくつもの機械に繋がれて点滴を受けてる南部は島のところへ行けなかったので古代が部屋に来るのを待っていた。

  「意識は戻ったけど…心ここに非ず、だった。両親が話しかけてるけど
   なにも反応しない…。」(進)
  「そうか…島らしくないな。」(南部)
  「あぁ…」

進はテレサの最期を伝えなくてはいけない…それをどう伝えたらいいのか…考えても頭の中は真っ白だった

  「南部、自分の方はどうなんだ?」

進が南部に切り出した。

  「俺?俺は大丈夫だよ。けがさえ治れば…(体中に巻かれた包帯を見て)
   聞いたよ、ヤマトが出航する、って。それまでには絶対治す…だから
   俺をリストから外すなよ?もし外したらユキさんみたいに密航してでも
   乗り込むからな。第一古代のサポート、俺じゃないとできないだろう?
   訓練しながら、っとくりゃゼロで飛んで行っちまうだろうからなぁ…
   訓練生にヤマトを預けるなんて俺にはできないね。」

いつも通りの少しおちゃらけた話し方だったが急に真剣な顔をして話を続けた

  「俺、個室出たら親父の病院に移るよ。そこで最近開発したうちで特許申請
   してる治療がある、ってさっき親父からメールが来てさ…俺、それの
   実験台になって…なんでもケガを治すのを早める治療らしいんだよ。親父も
   ヤマトの修繕計画を見てすぐ出航する、ってわかったらしく…俺を乗せたい
   一心で知らせてきたんだと思う。たまには親孝行しようと思ってさ…。」

進の心に“親孝行”という言葉が響く

  「世話になりたくなくて…飛び出した長男だからさ…」

南部はそう言って苦笑いした。

  「親孝行できるうちはちゃんとした方がいいさ。」

進はそう言うと“また来るよ”と言って南部の部屋を出た。




















ユキはまだIUCにいた。誰もいなくなったIUCの廊下から島をじっと見つめていた。島は相変わらず天井を見つめて動かない。

  (島くん…)

ふと右手が動いた。島はその右手を自分の顔の前までゆっくり動かしたてじっと見つめていた。気付くと島の眼から涙が流れていた。涙をふくことなくただじっと右手を見つめて涙を流す島…

ユキは島のそばに行けるよう佐渡にお願いすることにした

















作品名:yamato2 それから 2 作家名:kei