yamato2 それから 2
「島くん…」
白衣を着たユキが島のベッドの横に座った。島は右手を見つめたままユキの声を聞いて一瞬ピクっと反応したが視線は変えずただ右手を見つめていた。
「右手…どうしたの?」
ユキの問いに答えず島は布団の上に右手を下し眼を閉じた。
「…テレサさんとゆっくりお話しできた?」
島は変わらず目を閉じていた。
「ごめんなさい…」
ユキが謝ると島は眼を開いた。
「私が…テレサさんにお願いしたの…“島くんを返して”って。私には…
私たちには島くんが必要で…」
ユキは島に伝えたかった………誰よりもテレサが島の事を心配していたと…島が生きて地球に帰ることを望んでいたことを…。
しかし島は………
長い夢を見ていた気がする…ただそれはとても幸せな感じで目覚めたくない感じだった。
(テレサ?なぜテレサの名前が出てくる?どうしてユキが謝る?)
島はユキが何かを伝えようとしてるのはわかるがそれが何なのかわからなかった。
島はユキの顔を見た。ユキは島と目があって息をのんだ
(島くん…覚えてないのかしら…ずっとテレサさんと一緒だった事…)
ユキは島にテレサに命を救われたこと、その後自らの命を投げ出しヤマトを…地球を救ってくれたこと…それは島の生きる地球を守るためだった事たくさん話したい事が頭の中をグルグル回ったが何を話したらいいのかわからなかった。
島は視線をユキから天井に戻すとふたたび目を閉じた
しばらくすると島の静かな寝息が聞こえてきた。ユキは小さなため息をついてICUを出た。
作品名:yamato2 それから 2 作家名:kei