yamato2 それから 2
島がICUを出てきたので島の両親が来ていたが相変わらず島は何も話さないので両親も諦めて自宅へ戻って行った。
両親が戻って行くとクルーが島の様子を見にぞろぞろと集まった。
「島…よく…戻って来てくれた…」
涙をこらえて真田が声を掛けた。
「そうだよ…本当によかった…痛いところはないか?」(太田)
太田は涙でボロボロになっていた。相原も涙でボロボロで何も声を掛けられない状態になっていた。
「…古代」
初めて島がしゃべった。誰もが驚いていると
「何があったのか…俺がいなくなってから何が起きたのか教えてくれ」
島は進だけを見ていた
「島…」(進)
「俺は…俺がいなくなってからのヤマトが知りたい…ヤマトは無事か?」(島)
進は深呼吸をして頷いた
「あぁ…ヤマトは無事だ…今急ピッチで改修工事中だ。入院中だが真田さん
が指揮を執っている…」
進がそう説明すると他のクルーは気を利かせて島の部屋を出て行った。ユキも出て行こうとしたが
「…ユキはここにいてくれ…」
島がそう言うとユキはクルーの顔を見渡し最後に進の顔を見て進が頷いたので島に部屋に残った
「島…」(進)
「俺は…なぜ助かった?普通ならそのまま宇宙の藻屑になるはずだ。」(島)
ユキは涙をこらえきれず
「ごめんなさい、島くん…私が甲板に出なければ…島くんは被弾しなかった
はず…本当にごめんなさい…」
ユキはベッドに伏せて泣いた。島はその背中をそっと撫でた
「いや、あそこは戦場だった…俺の不注意だ。ユキのせいじゃない…ユキが
無事でよかったよ。」
優しい暖かい島の手のぬくもりがユキの後悔を溶かしていく
「俺は…死んだのか?」
島が進を見た。進は島の眼をみて首を振った
「テレザートを脱出したテレサさんがお前を救ったんだ」
意外な人の名前に驚く島だったが目覚めた時にユキがテレサの名前を口にしたのを思い出した
「テレサが?生きていたのか?それからテレサはどうしたんだ?」
島は畳み掛けるように聞いて来たが進はどう話そうか悩んだ。
「いいか?島…順番に話すから…聞いてくれ。あれから…デスラー艦に移っ
て白兵戦を挑んで…デスラーは白色彗星の弱点をユキに知らせてどこかへ
行ってしまった…それから俺たちは地球防衛軍の組織の中に戻って白色彗星
と戦った。そしてあのガス帯を取り除くことの成功したが残念ながら地球
防衛軍はほぼ壊滅状態になった。ボロボロなったヤマトは一時戦線離脱を
余儀なくされて…」
「ガス帯を取り除くことに成功した…だけじゃ勝利じゃないのか?」
島の言葉に進が頷くと
「あのガス帯の中に都市帝国があった。ヤマトが戦線離脱してる間に降伏を
促してきた。地球はそれを受理したが…調停前にヤマトが間に入りそれを
覆させた…今度は都市帝国とヤマトとの戦いになった。俺たちは白兵戦で
都市帝国の動力炉を爆破し勝ったと思っていた…が…」
進は話すのが辛かった。山本と加藤と斉藤の最期の笑顔がよみがえる…
「古代くん…」
ユキが心配そうに声を掛けると“大丈夫だ”と言わんばかりに頷くと話を続けた
「崩壊する都市帝国の中から巨大戦艦が現れた…その砲撃が地球を襲って
市民は地下都市に避難していたから人的被害はなかったみたいだが…」(進)
「波動砲で撃てなかったのか?」(島)
「ヤマトは満身創痍だった…波動砲は外部に撃つことは…」
進が言った“外部に”が島に引っかかった
「お前…まさか!」
島は車いすの進の胸倉を掴んで叫んだ
「お前にはユキがいるじゃないか!命を捨てる事をするな!」
「島くん、落ち着いて…」
ユキは島をベッドに寝かせると進を見て頷いた
「俺は…乗組員を全員救命艇で下して一人残って波動砲のエネルギーを充填
して特攻する覚悟を決めた…全員下したところで第一艦橋に戻ったら
ユキが…救命艇に乗らずヤマトに残っていたんだ。」
進の言葉に島が驚いているとユキが苦笑いした。
「…だって…古代くん、判りやすいでしょう?」
そう言って笑った。
「二人で…ずっと一緒にいる事を選んだの。だけど…」
ユキがそう振ると
「…テレサさんがお前を抱えてヤマトにテレポートしてきたんだ。」
進の言葉に島は息をのんだ
「まさか…テレサが?」(島)
「すまない…引き留められなかった…。“ズォーダーとの戦いは私が
行きます”と言って…」
進の眼にも涙がいっぱいたまっていた
「島くん…テレサさん、とても幸せそうだったの。これからはずっと島さん
と一緒に生きられる、って」
島は記憶の中の暖かいものを思い出していた
作品名:yamato2 それから 2 作家名:kei