yamato2 それから 3
「ただいま」
ユキが進の病室に戻ってきてソファーに座った。
「お帰り…気分は?」
進も一緒にソファーに座る
「えぇ…ちょっと疲れたけど大丈夫よ。」(ユキ)
「島は?」(進)
「大丈夫よ…。」
ユキの言葉に進が笑顔で答える
「そうか…よかった…あいつ、乗り越えられそうか…」(進)
「テレサさんがついてるし…反対に私たちの事心配してたわ…」
ユキが“人の事ばっかり”とつぶやいたが進は(君もだよ)と思った
「ありがとう」
進がそうユキの肩を抱いてお礼を言うと
「いいえ、どう致しまして。艦長代理!」
ユキは敬礼で返した
「でも…どうやって説明したんだ?」
進が知りたがったが
「そんなの内緒に決まってるでしょう?」
ユキが唇に人差し指を当ててそれを進に“投げキッス”するような仕草をしたので
「おい、ユキちゃん、まさか…」
進が焦ったふりでふざけた
「さぁね?内緒!」
と言ってユキは笑った。進は久しぶりにユキの笑顔を見たような気がした。
「古代くんは人の事ばかり心配してると自分がヤマトに乗れなくなるわよ?
訓練飛行、って事はゼロに乗って、って考えてるんじゃないの?そしたら
そのケガ完璧に直さなと佐渡先生搭乗許可出さないと思うからちゃんと
しないとね。」
ユキはそっと進の固定されている足を見た
「大丈夫だよ、これくらい…すぐに治るって。だいぶ痛みも引いてるし…
なんてったってヤマトの白衣の天使が付きっきりだもんな!」
進はそう言うとユキに優しくキスをした。
その日の夜ユキは疲れたのかぐっすり眠っていた。進はそっとベッドを抜け出すと島の部屋へ向かった。
「寝てるか?」
ノックもせずそっと扉を開けるとベッドの脇の照明が点いていて返事が聞こえた
「…絶対来ると思って昼寝たっぷりしておいた…ソファーに座れよ。」
島はそう言うとベッドから出てきてソファーに移動した
「心配かけちまったな…悪かった。」
島は素直に進に頭を下げた。
「気持ち悪いな。」
進が苦笑いでそう言うと
「なんだよ、人がせっかく素直にお礼を言ってるのに…それを気持ち悪い、
なんて…」
島が“お礼を言ってもったいない”と言った。そして真顔で
「教えてくれ…加藤と山本はどうした?」
島はコスモタイガー隊が全滅したことを知らなかった。生存者が少ないとわかっていはいたがすでにあの戦いが終わって二週間経つ…進は一瞬どう伝えたらいいのかわからなかった。
島自身も言葉に詰まる進を見てわかったがやはり二人の最期を知りたいと思った。
作品名:yamato2 それから 3 作家名:kei