さらば…イスカンダル 1
「あれから…ヤマトは地球に戻る途中でガミラスの反撃に遭いあやうく宇宙の
藻屑になりそうになった…それを救ったのは森雪だった。
地球に戻ったヤマトは放射能を除去し地球を蘇らせた。…がそれから一年後
新たな脅威が地球に向かっていた。白色彗星という人の手によって造られ
侵略するための兵器…地球は再び異星人と戦わなくてはいけなくなった。
デスラーは白色彗星に救われていたんだ。デスラーはヤマトに戦いを挑んで
来た。しかしデスラーは地球の為に必死になっている古代を見て去って
行ったそうだ…ガミラスの再建をする、と言って…デスラーはその時
白色彗星の弱点を教えてどこかへ去って行った…
今回ヤマトは新人を乗せて訓練を兼ねての航海に出ていた。その航海中に
デスラーからの通信を受け長官の指示の元イスカンダルへ向かった…と言う
事だ。今回、ヤマトがイスカンダルに向かったのは長官の指示があったから
であり、古代の一存ではない。古代はイスカンダルに向かう事を拒んでいた。
兄であるお前がいる、私情でヤマトを動かしたとなれば…それはお前にも
わかるだろう?」(真田)
「…デスラーは…改心したのか?」(守)
「わからんが以前のデスラーではない事は確かだ。己を犠牲にして戦う男じゃ
なかっただろう?何があっても民族の存続を、と言って戦っていた男だ。
古代は気を失っていたしそばにいたユキは何も言わないし…なぜそうなったのか
俺たちもわからない。だけど一つ言えるのはガミラスは地球の敵でなくなった
という事だ。」(真田)
「そうか…スターシアが驚いていた…あの時のデスラーと同一人物と思えない
とね…。イスカンダルからガミラスが見えた時最後の通信の時の事を聞いた。
地球を救いたい…だけど隣人も救いたい…そう思っていろいろ模索したけど
ガミラスは滅びてしまった…と…。」(守)
「そうか…ガミラスがきれいな星の時は交流があったんだろうな。」(真田)
「そうらしい。王家に生まれたスターシアは幼い頃ガミラスへ行った事がある
と話していた。しかしすでに放射能の中でしか生活できない体になっていた
ガミラス人と手を取り合って助け合う事は出来ずお互いの星を侵略しないと
公約するだけに留まったと聞いた。…すでに話し合いの余地はなかったと
いう事だろう。」(守)
「そうだったのか…」(真田)
「イスカンダルは静かだった。ガミラスが無人の星になってさらに静かになった
その静寂をやぶったのはあの異星人たちだった。彼らはまずイスカンダルに
通信を送ってきた。ガミラシウムを発掘するにあたり妨害しなければ
身の安全を保障する、と。スターシアは迷った。自分の星ではないけれど
双子星の片方を勝手に採掘させていいものか…と。その頃妊娠中だった
スターシアに無理させないようにと思い好きにさせる事にしたんだ。
やがてサーシァが産まれた…もうすぐだった、あの連中がガミラスを去るのは
ガミラスの星自体がすでにエネルギーに枯渇した星だった。ガミラスは自分の
星の寿命を削るようにガミラシウムを掘りそれで侵略をしていたからすぐに
堀り終わるだろうと思っていたんだ。そこへデスラーが戻って来て…この惨事だ…。
俺にしてみたらどうして今頃戻って来たのか、と聞きたかった。デスラーが
戻ってこなければまた静かな生活が続いていたのに…と。」(守)
「…そうか…そうだったのか。まさか、だよな。」(真田)
「スターシアはずっと一緒にいると言ったのに俺にサーシァを渡すと俺を
振り切り一人…逝ってしまった…一歩二歩、近付いていれば腕を掴んで
引き戻せたのに…スターシアの決心に気付かず…俺は今まで一緒にいて
彼女の何を見て来たのか…わからなくなってしまった…。」
守が耐えられず涙を流した。真田はそっと肩に触れた
「悲しい時は泣くんだ。だけど耐えろ…娘のために…」
真田の言葉に守はただ頷くだけだった。
作品名:さらば…イスカンダル 1 作家名:kei