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さらば…イスカンダル 1

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とまどい


翌日サーシァの健康診断が始まった。注射はさすがい泣いたがそれ以外は終始笑顔でとても愛らしかった。

  「ふむ…特別地球人と変わるところはないな。」

コンピューターから出力された結果に佐渡は満足そうだった。

  「よかったわ。じゃぁ一緒に地球で暮らせるわね。守さんも一安心だわ。」

ユキはサーシァを抱き上げてほほを合わせた。

  「う~ん、モチモチ!さぁサーシァちゃん、ミルク飲みましょうか。」

ユキはそう言うとアナライザーにミルクを頼んだ。










  「守くん。」

佐渡が艦長室にいる守に声を掛けた。

  「あぁ、佐渡先生、お世話になります。サーシァは…」

守があいさつした。

  「あぁ、いたって健康だよ。何も心配する事はない。だが…」

佐渡の眼が鋭くなった。

  「地球じゃ育てられんな。」

厳しい声で守に言った。

  「昨日より身長が3センチも伸びとる…普通の成長じゃない。何か知っていたら
   教えてくれ。」(佐渡)

守は伝えようかどうしようか悩んだ。

  「隠しようがない事じゃないか…」

佐渡の言葉に守は重い口を開いた。

  「イスカンダル人は一年で17歳ぐらいに成長するんです。森さんは10か月
   ぐらいと言っていましたが生後2か月です。」

佐渡は驚きを隠せなかった











  「サーシァちゃん、おむつ変えようか~」

ユキがミルクを上げる前に、と思いシンクの横にあるテーブルでおむつを用意してサーシァを置いた。

  「あら?」

昨日と何かが違う…ユキの手が止まった。

  「…足が大きい?気のせいかしら…?」

サーシァが“だぁ”と言ってユキの手を蹴ろうとしたので慌てておむつを替えてアナライザーを呼んだ。






  「ユキ、サーシァは?」(佐渡)
  「今ミルク飲んで寝た所です。起きたら守さんの所へ連れて行きますわ。」

小さなサークルの中に入って眠っているサーシァをユキはにっこり笑いながら見た。

  「佐渡先生、サーシァちゃんの事で気になる事があるんです。」

ユキが心配そうに佐渡の顔を見た

  「なんだか昨日より足が大きくなってるような気がして…持った感じも
   昨日よりすごくしっかりしてるんです。サーシァちゃんは本当に地球の
   子供と変わらないのでしょうか?」

佐渡は一瞬言葉に詰まった。ユキはその様子を見てため息をついた。

  「言いたくないなら…いいんです。」

ユキは佐渡から視線を外すとサーシァのお腹にタオルをかけた。


作品名:さらば…イスカンダル 1 作家名:kei