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さらば…イスカンダル 1

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  「やぁ、ユキ。めずらしく一人かい?」

休憩に入った島が食堂の隅で一人お茶を飲んでいるユキの隣に食事のトレーを持って現れた。

  「あ、うん。島くん、お疲れ様。」

島はユキの眼が真っ赤なのに気付いたが敢えて触れなかった。

  「今回はワープを最小限にしてるから日程が大変ね。それより体調、どう?
   大丈夫?」

島と相原と真田は出発直前まで入院していたので今も5日に一度健康診断を受けている。

  「あぁ…大丈夫だよ。」

ユキは一瞬島が視線を外したのを見逃さなかった。

  「そう…よかったわ。今回の事はイレギュラーだったからクルーにも大きな
   負担になってるだろうと思って…新人さんにかっこ悪い所みせられない
   でしょう?ずっと乗っている私たち、って…話したい事があったらいつでも
   呼んで。私、シフトから外れたから24時間営業中。ひょっとしたらサーシァを
   抱っこしながら話を聴くかもしれないけどその時はよろしくね。」

ユキは敢えて笑顔を絶やさないように話しかけた。

  「ユキこそ大丈夫か?古代は“艦長代理”だから忙しくてキミの事全くかまって
   くれないだろう?」

島の言葉にユキはにっこり笑った

  「…えぇ…そうね、古代くんはとても忙しいわ。だけどお兄さんが乗ってるから
   随分気持ちは落ち着いているみたい。時々サーシァの様子を見に来たり
   するし…古代くんにしてみたら守さんのお子さんだから血の繋がった親族が
   一人増えたんですもの…嬉しすぎる事よね…スターシアさんの事は残念だった
   けど…古代くんは守さんの支えになろうと頑張ってるわ。だから私も頑張らなきゃ
   って思うの。」

ユキは島がスターシアが死んだ事とテレサが死んだ事とダブらせないかと心配だった。

  「…ユキ、俺は大丈夫…」

島はユキが何を心配してるのかがわかった。

  「俺は守さんのようにならないよ。俺の身体の内でテレサは生きてる…悲しんで
   いる時間はないんだ。何かを考えている時ふとテレサならこうするかな、
   とか…テレサの意識がそばにあるような気がするんだよ。きっと守さんも
   サーシァの中にスターシアさんが生きてる、って思える日がくるから…」

ユキはその一言を聞くと大きな瞳から涙がポロポロ落ちてきた。

  「わ…ゆ、ユキ、泣くなよ。俺古代に殴られるよ。」

島はテーブルにあった紙ナプキンを慌ててユキに渡した。

  「ごめんなさい…よかったわ、私の思い過ごしで…ありがとう。」

ユキはそう言うと涙を拭いてお茶が空になったカップを持って

  「第一艦橋に戻るわ。島くん、ゆっくり休んでね。」

と言って食堂を出て行った。島はその後ろ姿を見送りながら

  (この世でテレサとユキを越える人と巡り合う事はできないかもしれない…)

と思った。




ユキは何となくサーシァが地球で生活できないのではないかと思い始めた。そう思うだけで涙が溢れてきてしまう…

  (佐渡先生も守さんもなにか隠している…)

サーシァと離れる事も寂しかったが二人とも何も話してくれないのが辛かった。そんなに自分は頼りないのか、と…


久しぶりに自室に戻りベッドに身を投げ出すとユキはすぐに深い眠りについた

作品名:さらば…イスカンダル 1 作家名:kei