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さらば… イスカンダル 2

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守は真田の話を思い出していた。

  (森さんは進の婚約者…)

呪文のように心で何度も繰り返した。だけどユキの姿にスターシアを重ねてしまう。何度も何度も首を振っても自分を求めるスターシアの姿と重なってしまう

  (スターシア…俺は…)

守はやり場のない心を持て余していた






  「いよいよ月ですね。」

何気なく太田がつぶやいた。太田は医務室でサーシァの手伝いに来ていた。

  「ユキさん?」

太田は急にユキの動きが止まった事に気付き声を掛けた…が、今度は背中が震えだしたので驚いて声を掛けた。

  「どうしたんですか?大丈夫ですか?」

太田が覗き込むとユキは泣いていた。太田はサーシァの世話を変わると

  「休んでいてください。」

と言ってユキを座らせた。太田は暇さえあれば医務室にサーシァが来ていないか見てていると世話を買って出てくれていた。ユキは無言で太田にサーシァを渡すとそばにある椅子に座った。

  「…サーシァちゃん、月で下りるんですって…。」

小さな声だったが太田にはちゃんと聞こえた。

  「……」

太田はお風呂の世話を手伝う事が多かったので何となく理由が分かっていた。

  「自分の子じゃないからずっと付いていてあげられないの分かってたけど
   やっぱり寂しくって…。ごめんなさいね、さっき古代くんから聞いてたくさん
   泣いたの。で、もう泣かないから今だけ泣かせて、って言ったんだけど
   やっぱりガマンできなくて…。」(ユキ)
  「そりゃそうですよ、ユキさん自分の子みたいに世話してたしこんなにカワイイ
   し…誰だって辛いですよ。新人の前で泣くのはマズイですが俺らの前なら
   いいんじゃないですか?」

太田はユキの涙を見てホレちゃう新人が増える事を言ったが

  「鬼の眼にも涙、かしら?」

ユキは見た目の優しさと違って結構厳しいのでギャップにおののくクルーもいる。

  「ははは、そんなトコかな。……はぁいサーシァ、気持ち良かった?そろそろ
   上がろうか。」

太田はサーシァをバスタオルの上にあげた。




  「やっぱり寝ちゃうわね。」

お風呂の後は麦茶を飲んで離乳食を食べて寝てしまう。

  「守さんに伝えなきゃ。」

ユキが立ちあがろうとしたとき太田がユキを制した。

  「私が行きますから…ユキさんは少し休んでください。眼が真っ赤ですし…
   守さんも驚いちゃいますよ。」

太田の言葉にユキはそばに掛けてあった鏡を見た。

  「ホント…ひどい顔ね。」

ユキはふふふ、と笑いながら自分のほほを触った。少し乾燥してるのかガサガサした。

  (スキンケアもちゃんとしてなかったわ…)

ユキはパンパンをほほを打つと

  「う~ん、じゃぁお願いしちゃおうかな…」(ユキ)
  「了解!艦長室行ってここに戻りますからユキさん、自室で休んでください。
   アナライザー(隣にいる)にサーシァに付いてるように…」

太田が言い終わらに内にアナライザーが聞き耳を立てていたのかキャタピラーの音を響かせながらカーテンを開けて入ってきた。

  「お、アナライザー聞こえたか。…カーテンだからな。俺が戻って来るまで
   サーシァを頼む。」(太田)
  「了解デス、ゆきサンドウゾオ休ミクダサイ。」

アナライザーが扉を開けてくれた。

  「太田くん、シフト…」(ユキ)
  「大丈夫ですよ。今回はサーシァを中心に回ってますから…。」

太田の言葉を聞いてユキは“よろしくね、何かあったらすぐ呼んで”と言って医務室を出て行った。ユキが退室してしばらく寝顔を見ていた太田がアナライザーに

  「艦長室に行くからサーシァ頼むな。起きて泣くようだったら俺に連絡して
   ユキさんには連絡しないように。ゆっくり眠ってほしいからな。いつも
   泣かないから大丈夫だと思うけどさ。」(太田)
  「了解」(アナライザー)

太田は眠ってるサーシァの顔をもう一度見て艦長室へ向かった。

作品名:さらば… イスカンダル 2 作家名:kei