さらば… イスカンダル 2
「ひゅぅ~“部屋で、”だと!食事の後はどうなるんだ?」
同期の一人が囃し立てる
「“おいしいわね”‘うん、おいしいな’“なぁうまい食事の後はデザートが
必要なんだが…”‘あら…いやん、私?’“いただきまぁす!”…なぁんて
ヨロシクやっちゃうんじゃないの?」
男6人が集結したテーブルは不健康だ。
「いやいや違うな“ユキ、食事を持ってきたぞ”‘ありがとう’と言って手を
出して受け取ろうとするけど艦長代理はそれを別の場所においてこう言うんだ
“その前に…味わいたいものがある”‘え?’…と腕を引いてベッドに…うあぁ~
いいなぁ~艦長代理幸せすぎる……あんな美女と…毎夜毎夜…隣の部屋…
誰だろう…眠れるのかなぁ~俺なら毎晩聞き耳立てちゃうなぁ」
北野は黙って席を立った。
「おい、待てよ、北野。」
同期の一人が北野を止めた。
「バカな話に付き合ってられないよ。メインクルーは本当に大変なんだ。
こうしてる間も次の事を考えてる。もうすぐ地球だから俺らも少し考えた
方がいいと思うぜ。この戦いで今までの訓練が訓練のための訓練だったって
気付いただろう?ヤマトでの訓練が本当の訓練だ。」(北野)
「おい、北野…お前ヤマトに乗ってから…いや、あの戦いの後から随分付き合
いが悪くなったじゃないか。どうしたんだよ。」
同期が詰め寄った所で…
「北野!」
と呼ぶ声がした。テーブルにいた全員が声の主を見た。
「太助…」
北野があからさまにホッとした顔をした。
「ちょっといいか?相談があるんだけど。」
太助がタイミングよく声を掛けた…ついでに
「ヤマトはそんなに甘い艦じゃない。周りの士気に関わる様なくだらない話は
こんなおおっぴろな所でするもんじゃない。気をつけた方がいいとおもう。」
太助はそう言うと北野を連れて食堂を出ていった。
「ありがとう。」
北野は側面展望室で太助のお礼を言った。
「いや、北野が何も言わないでいたら軽蔑するところだったけど…まぁ俺も
こないだ何も言えなかったからさ。」
太助は人懐っこい笑顔で頭を掻いた。
「でも父さんの言うとおりだの人だ、艦長代理は。」(太助)
「なにが?」(北野)
「森さんの事になると周りが全く見えなくなる、って。わかりやすくていつも
メインクルーのいじられキャラだった、って。」(太助)
「…確かに。戦闘中…まぁ訓練も含めてだけど…別人だよね。」(北野)
「俺、ヤマトに乗ってよかった。大変だけど…本当によかった…父さんの
魂が乗っている艦だと思ってる部分もあるけど…今回は失敗ばかりだった
けど次の航海は絶対にお前が乗っててよかった、って思わせたい!」
太助は宇宙空間を見ながら言った。
「北野はどうするんだ?」(太助)
「俺?航海班に志望変更だそうと思う。」(北野)
「へぇ…」(太助)
「難しいよ、戦闘指揮を執る、て。本当に艦長代理はすごい…」(北野)
「少し…揉まれてくることにした。次に一緒に飛ぶときはもう少し強くなって
て見せるよ。」(北野)
二人はしばらく展望室で話していた。
作品名:さらば… イスカンダル 2 作家名:kei