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さらば… イスカンダル 2

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  「違う、なんて言わないでください。この先私は守さんを義兄さんと呼ぶのに
   呼べなくなってしまう…私は守さんの義妹になるんです。一瞬の気の迷い
   なんです。」

守はサーシァをベッドに寝かせユキに近付いてきた。

  「進には俺が話す。」

守はそう言ってもう一度ユキを抱きしめたがユキは抵抗しなかった。

  「私は…意志を持った人間です。」

ユキが冷静に話し始めた。

  「守さんが古代くんに話したところで何の解決にもならない。ただ古代くんが
   苦しむだけ…だけど…私には古代くんしか見えない…どんなに愛されても
   私の心には古代くんしか住んでいない。それに守さんは私の事愛してる
   わけじゃない。」

守の力はまだ弱まらない。

  「守さんは誰かに守られたいの…今までスターシアさんに守ってもらって
   いたから…。幸せだったからこれから地球の暮らしに付いて行けるか不安も
   あって…誰かに助けてもらいたいの…その気持ちが近くにいた私に向かってる
   だけ…守さん、目を覚まして…これからはサーシァを守って…スターシアさんの
   分も生きて…。」

ユキを抱きしめていた手が震えていた。

  (守さん、泣いてる?)

守は静かにユキの身体を放した。

  「…サーシァちゃん、風邪ひかせないようにしてくださいね。地球の子供と
   同じ薬が飲めるかわからないので…近いうちに地球でお会いできるのを
   楽しみにしています。」

守はユキを解放したままの体制でユキの言葉を聞いていた。

  「…失礼します。」

ユキは静かに艦長室を出た。守はユキが出て行ったあと静かに体を起こし扉をしばらく見つめていた。初めてだった…拒絶されたのは…そして相手は…実の弟の恋人。ふと真田の顔が浮かぶ。

  (入る隙間もない、という事か…。)

守は肩を落としたままサーシァを抱き上げて

  「サーシァ、ふたりで頑張ろうな。」

とつぶやいた。



  (どうして…守さん!)

ユキは涙が溢れてきた。守が進を差し置いて私を奪おうとした事…まさか守が自分をその対象として見ていた事に驚いた。

  (月に降りるまで後50分ほど…ユキ、しっかりして。)

ユキは自室に戻ると冷たい水で顔を洗って赤くなった眼を冷やした。





  <間もなく月面基地に到着します。>

ふと時計を見ると後5分で着く時間だった。月で下りる3人とアナライザーは第三艦橋から下艦する。ユキは見送りに行くか医務室で迷っていた。すでに佐渡とアナライザーは第三艦橋にいた。



着陸するとドッグ内に空気が充填され第三艦橋の扉が開き守とサーシァと佐渡とアナライザーが下りようとしていた。見送りは第一艦橋のメンバーだ。

  「アナライザー、しっかり頼むぞ。」(進)
  「任セテクダサイ。コノ身ガクダケテモさーしぁチャンヲオ守リシマス。」

真っ赤なライトを点滅させてアナライザーが答える。

  「佐渡先生、よろしく願します。」(進)
  「まかせんしゃい。アナライザーもユキを見ていたから大体の事は出来る
   じゃろう。」(佐渡)
  「守、連絡する。」(真田)
  「…待ってる。」

真田と守はがっちり握手した。

  「サーシァ…またな。」

進は小さなサーシァを覗き込んだ。サーシァも何か感じているのか不安そうな顔をした。

  (ユキがいないからか?)

進はそう思いユキが遅れてやってこないかエレベーターを見たが動いている形跡がない。

  (別れが辛くて来ないのか?)

進が守を見た。この間にもサーシァの荷物が下される。進はサーシァを抱かせてもらった。

  「サーシァ、元気でな…第二の母は別れが辛いみたいで来れないみたいだ。」

進はあやしながら守の顔を見た。サーシァを見つめながら悲しそうな顔をしている。

  「兄さん、落ち着いたら連絡して。」(進)
  「…あぁ、お前も頑張れよ。」(守)

進は名残惜しそうにサーシァを守に返した



作品名:さらば… イスカンダル 2 作家名:kei