永遠に…の傷跡 1
進は我慢しきれず涙が流れてきてしまった。
「サーシァがユキをお願いって、そう言うんです。でも…地球出発の時…目の前で
落ちていくユキを…救えなかった…俺は…ユキを見捨てて地球を脱出した…
分かってるんです、頭ではあの時はそうするしかなかったと、でも…今思うと
何とかできたんじゃないかって…サーシァにも…」
進はそう言うとポケットから真田と同じ大きなダイヤモンド鉱石を取り出し握りしめた。
「でも…もう後ろへは引けない…ユキが今も戦っているなら…俺も一緒に戦って
ユキを守ります。だけど俺ひとりじゃ駄目なこともあるかもしれない…」
不器用な進は自分の事は分かってるつもりだった
「古代、俺は兄貴にお前の事頼まれてるんだ。もっと俺を信じて頼れ。」
「ユキはヤマトの中にいればお前だけのユキじゃないんだ。俺たちだってちゃんと
ユキを守る。今回ユキはヤマトに乗ってなかったが一緒に戦ってた。それによ、
おまえひとりで戦わせるようなことはしない。みんながついてる。」
「このことはまだメインクルーと通信班しか知らない。でも太陽系に入れば他の
通信もできるようになるから他のクルーも知ることになるかもしれない。直接
お前に聞いてくる奴はいないと思うが班長がきちんと対処するようにするから…」
真田の言葉には余計なこと考えないでこれからどうするかよく考えろ、ということだと
進は思い
「真田さん、島…よろしくお願いします。」
そう言って冷めたミルクを飲みほして“自室で仮眠とります”と言って島の部屋を出た
「島、悪かったな…古代の目を見てたら…大事なところ…ちゃんと言えなかった…
兄貴代理失格だな。」
真田がさみしそうにつぶやいた
「なに言っているんですか真田さん!本当なら…真田さんだって…辛いはずなのに…」
島が申し訳なさそうに言うと
「なぁ島。俺はサーシァの仮の親になれて幸せだったんだ。俺の手は作りものだ。
表面はなんら変わらないように作られているが冷たい金属で出来た義手だ。
でもなサーシァを抱いたりほほをなでてやったりすると柔らかい感触が…懐かしい
感じがするんだ。俺の義手は体温も柔らかさもわかるようになっているけどその
器械的反応と違って本当の人間のぬくもりを感じることができたんだ。
俺はそれだけでも…充分なんだ。サーシァは守に返してやったんだ…」
真田の表情は白色銀河から撤退する時と表情が変わっていることに気がついた
「あの子は俺のここ(心臓を親指で指さして)に生きている。」
「そうですね。みんなのここに…住んでいます。」
島もそう言って自分の心臓に手をやった
しばらく真田は島の部屋にいたが‘先に仮眠とれ’と言われ真田だけが部屋を出た。