永遠に…の傷跡 1
進はふと時計を見た。
いつ眠りについたのか…でもいつもの疲れの抜けない寝起きでなかった。心なしかすっきりした寝起きだった。
時計は6時を指していた。昨日は着のみ着のまま寝てしまったことに気づきシャワーを浴びて食堂へ向かった。
進がおにぎりを一つ食べていると正面に真田が座った
「ちゃんとたべないとサーシァに怒られるぞ」
そういうとトレイにのった空の器に真田が自分のおかずを取り分けて箸を乗せて
「食べなさい、ちゃんと」
ちょっとユキの真似を真田がした。余りにも口調が似てたので進は思わず笑ってしまった
「ちょっと後で俺の部屋に来てくれ」
真田は小声でそう言うとそれからは無言で食事をした。進はハイ、といいながら真田の取り分けたおかずを少し食べた
「おはようございます」
島が真田の隣にきた。
「「おはよう」」
二人が返事を返すと
「島も後で俺の部屋に来てくれ」
とはやり小声で伝えた。島は小さくハイ、と答え
「古代、それじゃ背も縮むぞ!」
そういいながら自分のおかずを進の皿に入れようとしたので
「島、どさくさにまぎれて自分の嫌いなニンジンを俺に食わすな。」
ささっと進は皿を引いた。
(昨日と少し様子が違うな)
真田も島もさっきの様子が昨日までと違ったのでそう思っていた
みんなはもう次の事へ向けて動いている。ユキを救うために急いで地球に戻ろうと頑張っている。俺にできることって何だろう…
呆然としている進に真田は
「今までロクなもん食べてなかったんだろう。ゆっくりでいいしっかり噛んで食べてから
俺の部屋にこい。先に島と待ってるから。」
そう言うとさっさとトレイを下げて食堂を出て行った
しばらくして食事を終えた進が食堂を出るとちょうど山崎にあった。
山崎も随分憔悴しきっている様子がよくわかったがそれに反して目は生き生きしていた。
「あ、艦長代理、いま少しお時間いいですか?」
進は真田の部屋へ行こうと思っていたが昨日の夢の事も気になっていたので
「少しなら大丈夫ですよ。」
そう言うと山崎は自室へ進を連れて出た
「すみません、冷蔵庫がからっぽで…」
進を最初から呼び止めて話しするために置いてあったように常温のイオンドリンクが出てきた。入れ物は結露していた。あまり食欲のない進の胃を刺激しないように冷蔵庫に入っていた飲み物を常温のところに置いといたのだろうとすぐにわかった。山崎はコップにそれを入れて進に渡した
「昨日、あの子が夢に出てきました。」
山崎は唐突にそう切り出した。
「私に向ってユキさんを助けてほしいって。私はいまとっても幸せだから、大丈夫
だからお願い、ユキさんを助けてって。
私は自分をこれだけ犠牲にしてそれでもなお人を思いやるいい子を知りません。
澪は、サーシァはイカロスで艦長代理に会う以上にユキさんに会いたがって
いました。小さなサーシァは黄色の艦内服を覚えているんです。二人の母の
ぬくもりが私にはあると生前それはとてもうれしそうに言っていました。
昨日島から地球に早く戻る方法の相談がありました。多少無理がありそうですが
私はサーシァの為に艦長代理が反対しても島の要求通りにワープできるよう
整備します。私は何が起きてるのかよく知りません。でもサーシァはあまり
お願いごとをしたりする子供ではありませんでした。そのサーシァが…
きっとよほどのことなんでしょう。深いことはいつかはなしてくれれば結構です
話すことすら忘れてしまっても私はだれも恨んだりしません。
久しぶりにサーシァと話して私はやっと…受け入れることができました。」
進は黙って聞いていた