永遠に…の傷跡 2
…………また…吐血…
ユキは温かいお湯を浴びているのに体が寒くなるのを感じた。立ちくらみに耐えながら立ち上がると自分の体を見た。鎖骨は不気味なほど浮き出て肋骨がはっきり見える。
腕の筋肉もすっかりそげて顔は真っ青だった。
(いけない!今休んでいる暇はないのよ…佐渡先生もいないし…胃薬は常備してる
大丈夫よ、ユキ。もうすぐ古代君が帰ってくる。大統領府から戻ってくるころきっと
ヤマトも帰ってくるわ。そしたらゆっくり休める…きっと。)
ユキは自分にそう言い聞かせて足もとの赤い液体をすべて流してしまうとシャンプーをすべて流し表に出た。まだ濡れてる髪のまま通信機を取り寮へ電話すると機械が対応した後寮母さんが出た。
「ご無事でしたか?私森雪です。すみません、忙しくてずっと寮に戻っていないん
ですが…寮は無事ですか?…あぁ、やはりダメですか。特に大事なものはない
んですが…わかりました。ちょっとこれから出張なのでまた戻ってきたら連絡
いれますので…寮母さんはけがはないのですか?…よかった。えぇ、また戻った
ら一度帰りますのでそれまでよろしくお願いします。」
ユキは備え付けのドライヤーで髪を乾かしいつもよりこけたほほをカバーするように念入りに化粧をしてランドリーから戻ってきたばかりの制服と予備の私服を数枚持ち制服に着替えシャワーグッズをロッカーに戻してから正面玄関に向かった
すると正面玄関より手前で藤堂が待っていた
「すみません、お待たせしてしまって…」
ユキが正面玄関に向かって歩こうとすると藤堂が
「ユキ、正面玄関はだめだ。裏に車を手配してある。そこからエアポートに向かう。」
ユキは藤堂の言葉ですべてを悟った
「…長官、すみません。私のせいで…」
藤堂はユキの右肩を抱くようにやさしくたたくと“さぁ急ごう”と言って裏口へ向かって歩き出した。