永遠に…の傷跡 3
藤堂は黙って聞いていた。ユキの話が終わってからも目を閉じたまま黙っていた。
「長官…」
「ユキ…辛い戦いだったな…今日はもういいからこのままこの家で少し休みなさい。」
「長官!」
「午後は視察だけだ。別の秘書と行くから。ユキはずっと神経をすり減らして戦って
きた。今日一日ぐらい休んでも誰も文句言わないだろう。」
そう言うと窓を開けて夫人を呼んだ
「悪いが一日彼女を頼むよ。ちょっと疲れてるみたいだからお風呂の支度頼めるか?」
「大丈夫ですよ。すぐ入れます。いい湯加減よ。着替えはあの子ので大丈夫ね。」
「長官…」
ユキが申し訳なさそうにすると
「私にはこれぐらいのことしかできんのだよ。すまんが昼の支度してくれるか?」
「はい、サンドイッチでいいですか?」
夫人はにっこり笑うと手を洗ってユキをお風呂に案内してくれた
「孫娘は突発でいつ遊びに来るか分からない子でね。その子用に新しい下着をいつも
用意してあるの。サイズは大丈夫だと思うから使ってちょうだい。ここの棚にあるから
どれでもお好きなのをどうぞ。」
夫人はそう言うと脱衣場の扉を閉めた
ユキはこのままお世話になっていいものか考えてしまったが他に行くあてもないのでお世話になろうと服を脱ぎ始めた。洗面所に映る自分を見て
「こんな私を見たら…古代君きらいになっちゃうかしら…」
(ううん、容姿で人を見たりしない…でも噂がヤマトに伝わったら?古代君は私の事
信じてくれるかしら…)
藤堂と同じように自分を信じてくれるのか…不安が募る…。
(温かい…)
久々に湯船につかりながらユキは涙が出そうになり必死にこらえた。
これから先自分に出来る事なんてあるのだろうか…いつも思い出すときは笑ってる古代が今は悲しそうに自分を見ていた。
(私はどうしたらよかったんだろう…もっと違う方法で戦うことができたのでは?)
また、胃の辺りが痛む。みぞおちを押すとかなり痛かった。
(ご婦人にお願いして少し休ませてもらおう…佐渡先生の所から持ってきた薬の中に
睡眠誘発材が入ってたはずだわ。それを飲んで今日は休もう…)
久々に湯船につかったせいか立ちくらみがひどかったがゆっくり立ち上がり体と髪を洗うと幾分か疲れが取れた気がした。