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永遠に…の傷跡 3

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ユキはソファーに腰掛けるとリビングから見た風景をじっと見た。

  「いい香り…」

バラの香りが窓を開けるとほのかに香る

  (ずっと…忘れていたわ…こんなやわらかい空気…)

ユキは窓を開け放つと今度はベッドに座った。

  (軍の仮眠室のベッドでしか寝ていなかったわ。誰かが使ってると応接セットの
   ソファーだったし…気持ちいい…)

布団をかけて寝ることの方が少なかった。ユキは藤堂の気持ちをありがたく頂きながらベッドに横になった。ホットミルクのおかげかふと眠りに入った。


ユキは夫人が夜様子を見に来たがそれにも気付かない様子でよく眠っていた。
夫人は開いている窓を閉めて下に戻った。その日はいつも帰りの遅い藤堂も視察を早めに終わらせて帰宅していた。



翌朝ユキはいい香りで目が覚めた

タンスの上にバラのお香が焚かれていた。夫人が用意したのだろうかすでに終わりかけていて灰が灰受けにたくさん落ちていた。
ユキは慌てて階段を降りるとノックしてリビングへ入った。

  「ユキ、おはよう。」「ユキさんおはよう、よく眠れたかしら?」
  「おはようございます。朝の支度お手伝いできなくてすみません」

ユキが慌ててあいさつすると

  「ははは、何をそんなに慌てているのかね。今日は10時出社で大丈夫だから…
   ほら、そこに座りなさい。」

藤堂がリビングの椅子をすすめると夫人が昨日のスープを温めて持ってきてくれた。

  「昨日のお洋服、ランドリー済ませておいたからお二階に上げておくわね。さぁ
   全部は無理かもしれないけど…少しおなかに入れておきなさいね。」

そう言って台所へ戻ってしまった

  「さぁユキ、スープを飲んだら少し庭に降りて土の感触でも確かめておいで。」

藤堂はすでに食事を終わらせていて飲みかけのコーヒーを一気に飲むと席を立った。
すると夫人がユキの隣に座り自分のコーヒーを持ってきた。

  「いい天気ね。熱くないと思うわ。ゆっくり食べなさい。」

時計を見ると7時半だった。

  「はい、いただきます。」

ユキは久々に穏やかな朝を迎えられた、と思いながらスープを口に運んだ
作品名:永遠に…の傷跡 3 作家名:kei