永遠に…の傷跡 4
進はユキの左腕の注射の痕に気がついた。右手で注射を持ち左腕にうっていたのだろう左腕は血管の場所が全く分からない状態だった。
今点滴してるのは栄養剤だろうか、痛み止めだろうか…
進がぼんやり点滴を眺めているとノックの音がした
「どうぞ」
進が答えるとそこには藤堂と藤堂夫人が入ってきた
「長官…」
進がユキの手を放し長官のところへ向かおうとしたとき夫人がユキの元へ駆け寄り
「ごめんなさいね…こんなになるまで…気付いていたのに…辛かったわね。」
そう言って涙を拭きながらユキの顔をなでた
「すまんな、佐渡君から連絡もらって…ひどい状態のようだな…実はユキはずっと
私の家で生活していたんだ。紹介が遅れたが…妻だ。二日間はアメリカに行って
いたので会っていないがそれ以外はすべて我が家で食事の世話などしたんだが
ほとんど食事は喉を通らない様子で妻が作ったスープを少し飲んでたくらいだ。
そんな状態のユキをアメリカなど…連れて行ってしまって…すまなかった。」
藤堂は進に頭を下げた
「日本に置いておいたら…それこそどこで何を言われるかと思うと私も放っておけ
なくて…ユキに何かがあったらそれこそ…」
「長官…」
「君から何もかも…奪ってしまいかねなかった…」
「長官…きっとユキが休む事を拒んだんですよね。ユキはいつも自分の事は後回しに
してしまう…。きっと奥さまもユキのためにいろいろしてくれたと…こんな私でもわかり
ます。」
「古代…知ってるのか?」
「…知っています。ユキが傷ついていることも。誰かが故意にそう噂を流したのでは
ないかということも。……私はユキを信じています。誰が何と言ってももし万が一
噂が事実だったとしても…私はユキを守ります。」
「古代…噂は…完全なる噂だ。」
「えぇ…ユキが生きてる…だから嘘だってわかるんです。私は大丈夫ですが…」
「よかった…古代がそう言ってくれるならユキは大丈夫だろう。」
夫人はユキの傍を離れようとしない
「…ユキの顔を見たら帰る約束だよ。また意識が戻ったら会いにくればいい。」
藤堂は夫人をユキから離すと失礼したね、と言って部屋を出て行った。その扉の先に真田がいることに気がついた。進は藤堂と一緒に廊下に出た
「真田さん…」
「すまんな、行くあてがなくて…」
「入って下さい。」
「…ちょっと長官と話をしたら…」
「わかりました。ノックしなくていいですから…」
「ありがとう」
進は扉を閉めると何やら話が始まった様子だった
15分くらいで話は終わった様子で真田が入ってきた