永遠に…の傷跡 5
「ユキさん…進はもう大丈夫です。ヤマトの皆さんのおかげで立ち直っています。
進は…あなたを救う事が出来ずあなたが生きていると自分に信じ込ませて
戦ってきました。今進はあなたを救うためだけに地球へ戻ってきたのです。
戦いで散ってしまったサーシァの為にも…進の気持ちを受け入れて下さい。
ユキさんが自分を許すだけなのです。だれもユキさんを疑ったりしていない。」
「でも私と一緒にいると…古代君も噂の中に巻き込まれてしまうわ。それだけは
絶対にいやなの…」
「大丈夫です。あなたが生きていてくれたことに進は感謝しています。それに
周りを見て…あなたはひとりじゃないわ。ユキさん、進に付いていけばいいの。
私の義弟を悲しませないで…あなたしか…いないの。」
スターシァはそう告げると碧い光とともに宇宙の彼方へ飛んで行った。ユキは再び宇宙空間に取り残された。さみしくて泣いていると心の中が暖かくなる感じがじわじわしてきたと思ったら懐かしい香りがユキを包んだ
(バラの香り?…温かい手が…誰かが私の涙を拭いてくれている…)
「ユキ、どうした!」
佐渡が看護師2人を連れてユキの病室へ走ってきた。急に計器類の数値が下がりアラームが鳴り響き血圧が60の35まで下がっている。見舞いに来ていた島と真田と南部は部屋を出て廊下で待機、進が心配そうに一歩下がったベッド脇で様子を見ていた。進はただ見つめることしかできなくてくやしかった。
ユキ…頼む…一人にしないでくれ…
新しい点滴が始まりその点滴に別の液が注入される…
30分ほどして容体は落ち着いたので看護師はユキの部屋を出て行って佐渡が残り島と真田と南部も部屋に入ってきた。
「どうしたんじゃろう…落ち着いたからよかったものの…連絡が遅れたらちょっと
危なかったかもしれん。」
浅いが規則正しい呼吸をするようになったのを見て進もほっとしたがふと見るとまた涙が流れている。今度は一筋ではなく拭いても拭いても次から次へと流れてくる。
進は点滴につながれていない左手を両手で包み
「ユキ?なんかあったのか?痛いのか?辛いのか?」
そう言って冷たくなってしまったユキの手を温めているとユキがゆっくり瞳を開いた
「…ユキ!」
「ユキさん…」
ユキは状況がつかめていない様子だったが温かい自分の左手の感触を確かめてそこに進がいることに気付いた
「古代…くん?」
「ユキ…そうだよ。帰って来たよ…ほら、みんなも一緒だ。」
ユキはまだ焦点があっていないのか目を細めながら部屋を見渡した
「本当…みんな…おかえりなさい…」
酸素吸入器が付いているので話しにくそうだが意識がはっきりしたことはわかった
「ユキ、しゃべらんほうがいい。」
ユキは辛そうな表情だったがすこし笑ったように見えた。そして再びそのまま眠りについた