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永遠に…の傷跡 6

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  「辛いことを言うようだが…噂の事も知ってる。」

ユキの表情が一変した

  「大丈夫だよ、ヤマトの乗組員は誰一人そんな噂信じちゃぁいない。一緒に戦った
   仲間を信じない乗組員なら次の時絶対に乗せない!」

進がそう言ってユキは少しほほ笑む事が出来た

  「きっと…その噂が本当だったら…俺たちが帰還した時…こうして会うことできなかった
   だろうって思うんだ。」

進が優しくユキのほほをなでる

  「ユキは自分のしてきたことを否定しちゃいけない。ユキはユキにしかできない精一杯
   のことをしたんだ。」

左手を握ったまま

  「ユキは体を治すことだけを考えて…ユキの体がよくなるまで…ずっと一緒にいるから。」

そう言うとユキの体の負担にならないようにそっと抱きしめた




しばらくするとユキがうつらうつらし始めたので進はゆっくりベッドを平行にしてぐっすり眠りに入ると左手を布団に入れてソファーに座り冷蔵庫に入っているイオンドリンクを飲んだ

  (どうしたら…ユキを救う事が出来るんだろう…)

丁度そこへ真田が南部と大きな荷物を持って一緒に入ってきた。


  「下で会ってな…いいか?」
  「もちろんですよ。南部、帰還してきて待ってた女の子、相手しなくていいのか?」

進が冗談交じりで言うと

  「何言ってるんですか。取り巻きよりユキさん方が大事ですよ。それより大丈夫ですか?」
  「…今…ちょっとうなされて…点滴はぬけちゃうし…吸入器は放り投げ…佐渡先生
   に来てもらって処置してもらったところ………どうも捕虜になった時の事がトラウマに
   なっているらしく…今はぐっすり寝てるから大丈夫…きっと俺らが帰還する前もその夢
   見てたんだろうな。汗だくで…」
  「見てる方も辛いな」(真田)
  「…側にいることしかできないんでしょうか…もう死んでしまったヤツをこんな風に憎んだ
   事…ないです。」(進)
  「肉体的な疲労や怪我は治れば大丈夫だが心のケアとなると時間がかかるに間違い
   ない…」

三人がため息を同時についたとき

  「真田さん、なんか食べ物買ってきましたか?」

と南部が聞いた

  「あ…どうしようか悩んで古代と交代しながら食堂でも行こうかって思って何も…」(真田)
  「よかった。実家に話に行って寄った時いろいろこしらえてもらったんですよ。ひょっとした
   ら食べきれないかもしれないんですが…冷蔵庫あるし…残ったらチンして食べて下さい
   よ。ちょっとキッチン借りますね。」

そう言って南部はボストンバッグのような大きなカバンをミニキッチンに持って行った

  「…ユキは…よく寝てるな」

真田はいつもユキの左側へ歩み寄るが点滴の様子が気になって右側を覗き込んだ、その時

  「古代!」

真田が進を呼んだ。その時真田がベッドと布団の隙間から取り出したのはイスカンダルのダイヤモンドだった。

  「真田さん…サーシァはここに?」
  「あぁ…間違いない。サーシァはユキを救いにここにも来たんだ…」
  「いつ…来たんだろう…」
  「…わからん。右側は佐渡さんとか…いろいろあるから触らないようにするためにも
   あまりそっち側に行かないようにしていたからな。そうか…サーシァは…やさしいな。」
  「…人の世話ばかりして自分の事後回しにしてしまうあたりは真田さんと同じですね。
   血はつながってなくても真田イズムはちゃんとサーシァに引き継がれていたんですね。」
  「…そうか?俺ってそんなか?」
  「えぇ、そうですよ。だから俺も…ユキも…みんな真田さんに頼ってしまうんです。
   真田さんのプライベート無視で…。」
  「プライバシーも…無視…だろ?」
  「そうですかねぇ?気にしてなかったって事は…そう言うことになりますか?…でもそれを
   思うとここに来る全員…そうじゃないですか?」
  「…そうだな。特に今食材運んで来たヤツ…それとよく食うやつ…」

その時ノックの音がして

  「太田です…入っていいですか?」

進は笑いながら(匂い…ですかね?)と言いながら扉を開けた
作品名:永遠に…の傷跡 6 作家名:kei