永遠に…の傷跡 8
10分ほどして相原は慌てて戻ってきた。
「ちょうどセッティングしてたら南部の想像通り早く来ちゃって…急いで戻って来たよ。」
相原と南部が真田と携帯で連絡を取りながらカメラの位置をセッティングしてるとフロントから
連絡がきて織田さんがいらしてますがお部屋に案内していいですか?という問い合わせだった。
フロントの人間が気を利かせてくれたからバレずに済んだ…といいながら相原は端末の画面に
納得したようで
「織田が入って来たら録画しましょう」
そう言ってソファーのテーブルに端末を置いてみんなで見ているとほどなくドアをノックする音が
して織田が入ってきた。
「よし、録画開始!」(相原)
進はユキの手を握り耳だけを傾けていた
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・801号室・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「やぁ…君が南部くんかね。お父さんには何度かお会いしたことがありますが…
はじめましてになりますね。」(織田)
「えぇはじめまして、ですね。テレビの画面では拝見したことがありますが。どうぞお入り
ください。まだ寮の方は乱雑で落ち着かないので今日からここへきたんです。今お茶を
運ばせます。」(南部)
「いえ、すぐお暇しますので…お気遣いなく…」(織田)
「そうですか?では次はおいしいコーヒーを御馳走しましょう。奥のソファーへ…」(南部)
扉のところで話してるのだろう。声しか聞こえず…しばらくするとソファーのあるリビングへ
南部が先に歩いて入ってきた。二人は向かい合うように座った
「このたびのヤマトの活躍はまたしても素晴らしかった。一市民として礼を言う。ありがとう
どうかね、地球に戻ってきて何か周りで変わったこととかないかね?」(織田)
(クルーの中で…ってことか?)
「そうですね、住むところ以外特に…ただ復興が遅れてるなぁと思います。かなり軍の被害
がひどかった様子ですから指揮取る人間も少ないんでしょう。こればかりは仕方ないな、
と思います。我々もすぐ参加したいところですが長官より二週間の休養を頂いていて…
やはり上官が休まないと部下もゆっくり休めないですから…」(南部)
「その通りだ。何か月も戦いながら航海しているのだ。休めるときはしっかり休まなくては
いかん。その休み中に申し訳ない。こうして押しかけてしまって…時間がもったいないな。
早速本題に入りたいのだが…いいかね?」(織田)
南部は何も知らない、という顔をして話を聞くふりをした
「単刀直入に聞こう。森ユキ君の噂、聞いているかね。」
織田はいやらしい笑いを浮かべながらゆっくり話した
「えぇ…地球に戻ってきてほんの少し聞きかじりましたが…あれから軍の方にも行って
ないし…本当の情報はまだ仕入れてませんが…まぁユキさんに限って…と思ってます
それが何か問題でも?」(南部)
「そう、それが大問題なのだよ。もし森君が敵の将校と、と言うのが本当だとすると長官
秘書のスキャンダルだ。やはりきちんとしないといけないと思うんだよ。」(織田)
「え?ではあの記事は本当ではないのに書かれた、と言うことなんですか?」(南部)
「記事?あぁ、あれは…(ちょっと歯切れ悪く)なんだなぁ…まぁどこから出たかわからん噂
でな、だからこそ本当かどうか知りたいのだよ。」(織田)
(どうせお前たちが流したんだろうが!)南部の心の声
「…で、私にどうしろ?と?」(南部)
「森君の姿が見当たらないのだよ。長官も休みをとっているし…以前は長官の自宅で
夫人と一緒に生活してるのを確認しているが最近長官宅で見かけない様子で…古代が
戻ってきているだろう?一緒かと思ったのだが古代は真田君と一緒の様子だし…
ひょっとして噂が本当で古代と森君と別れて別行動なのか?と思って…」(織田)
「二人が別れることで何か変わるんですか?(かなりおもしろくなさそうに)別に織田さんには
関係のない事だと思いますが?」(南部)