永遠に…の傷跡 8
「えぇ…そうですが…」
ユキはひんやりした壁を背もたれにして座りなおすと
「私?」
「随分休憩も取らず働いてるじゃないか。それじゃいざ決戦の時足手まといになるぞ。
悪いことは言わないお嬢さんは本部で高みの見物といってた方がいいんじゃないか?」
男は空間騎兵隊のかっこうをしていた
「…迷惑かけたことは謝るわ、ここまで運んでくれたことに感謝もしてる。でもそれとこれとは
別よ。少し休めば大丈夫よ。どうもありがとう、お手数おかけしてすみませんでした!」
ユキが立ち上がろうとすると
「だめだ、少し休んだ方がいい。今俺の部下が交代要員で中に入って行った。結構空気が
薄い。多めに休憩取らないと次はないぞ。ひとりの事故が大事故につながってこの作戦
がおしゃかになってしまう可能性だってある。いいから少し休んで…」
「…すみません…」
「なぁあんたさ空間騎兵隊の斉藤知ってるだろ?」
「!」
ユキはその男を見上げた
「やっぱりな、実はなヤツの遺品に日記があってよ、空間騎兵隊の隊長は一日あったこと
ちゃんと日誌に記録する義務があるんだ。残念ながら途中で終わっていたがな。」
「あなたは?」
「あぁ俺か。自己紹介遅れたな、俺は空間騎兵隊の泉。苗字はきれいだがこんなにごっつい
男さ。俺は斉藤と同期でな…いつも訓練でお互いライバルで…だからヤツが死んだって
未だに信じられないんだが…あの任務も後数週間で終わりだったんだ。終わって地球に
戻ってきたら飲みに行こうって言ってたんだがなぁ…残念だったよ。でもヤツの日誌を読んで
ヤマトに乗れてよかったって部分がたくさんあるんだ。最初はグチが多かったがな。」
「そうだったんですか…斉藤さんの…」
ユキは思わず涙がこみ上げてきた
「おい、泣くなって…なんで泣くんだよぉ」
泉はその大柄な体格と反対にユキの涙でオロオロし始めた
「斉藤さんはとても立派な方でした。戻ってくることができなくて…立派な最後だったと…
うかがっております。おそらくあの方がいなければ今の地球はないと言っても過言では
ないと思います。」
ユキはスカーフで涙を拭いた
「そうか…ヤツも結構無愛想なヤツだからなかなか味方になってくれるやつがいなくてね
まぁ空間騎兵隊なんてそんなちょっとひと癖あるやつが多いんだが…」
「私は斉藤さんの事好きでしたよ。とっても部下思いで優しい方でした。最初は私もどうなる
ことやら…って思いました。命令無視したり…でも最後…あの都市帝国へ白兵戦で乗り
込んだ時…斉藤さんは…」
ユキはそこまで言うと言葉にならなかった