永遠に…の傷跡 8
しばらく泉も何も言えずじっと涙をこらえるようにうつむいていた
「…そうか…ヤツの遺品の中に端末があって…その中に日誌があってさ…ヤツの家族が
それを俺に持ってきて軍の物だから受け取れないって言って…それでヤツがどうヤマト
に乗り込んでどう戦ってきたのか分かった。あれほど嫌ってた軍艦乗り達を最後最高の
仲間って……俺たちはどうなるんだ?ってそう笑いながら読んだんだがな…」
「泉さん、もし…よければ…私たちが生還したらその日誌…いつか見せてもらえますか?」
ユキは勇気を振り絞って聞いた
「あぁ、ぜひ読んでやってくれ。きっとこれも斉藤の縁だ。きっとヤツが守ってくれる。頑張って
平和な地球を取り戻そう。」
泉はそう言うと
「俺らは交代要員でこれから作業に当たるから森さんはもう少し休んでからきな。」
笑って作業に戻って行った
…そうだわ…泉さん…どうしたかしら…きっと無事よね…斉藤さんがついてるもの
…冷たい…誰?古代君?ううん…私を呼ぶ声…この声は古代君じゃない…
ユキは額や首の回りがひんやりするのを感じた。ふとユキが目を覚ました
「ユキ…起しちゃったか?」
目の前にいたのは真田だった
「古代…さっき寝たんだ…ちょっと待ってろ…」
真田がユキの左手を離そうとしたときユキがしっかり真田の手を握り返した
「いいのか?寝かせてて」
ユキがゆっくりうなずく
「随分汗かいてたぞ…悪い夢でも見てたのか?」
ユキが酸素を少しずらして真田に話しかけた
「重核子爆弾を解体するために…地下トンネルを掘った時の…夢を見ました。…とても
酸素が薄くて…息苦しくて…何度も意識がなくなりそうだった…でも私はどうしても
戦わないといけなかったから……」
「そうか、ユキもトンネル掘ったのか?」
ユキは苦しい息で酸素を当てながら
「そしたら…空間…騎兵隊…の…斉藤さんの同期の…泉さんと…知り合って……
この戦いに勝ったら…斉藤…さんの…日誌を……」
真田はユキのベッドの背もたれをあげてやった
「その泉って人が斉藤の日誌を持ってるんだな、それでユキにそれを見せてくれるって
言ったのか。そいつはいいやつだったのか?」
ユキはゆっくりうなずいた
「…そうか…よかったな。きっと斉藤が守ってくれたんだな。分かった、相原にその泉
と言う人間が今どこにいるのか調べさせよう。」
ユキは満足げににっこり笑うと再び夢の中に落ちて行った。真田は酸素マスクをしっかりユキの口元に当てるとベッドを水平にして布団をかけなおしてやった