永遠に…の傷跡 9
時間通りに院長の山下と婦長が部屋に入ってきた。進たちは診療が始まると同時に同じ部屋の落ち着いた和室の方に移動した
「すみません、私全然昨日の事知らなくて…」
「だいぶ無理されてた様子でしたので…佐渡先生から聞いております。私どもは南部
おぼっちゃまを幼少の頃より診ておりました山下と申します。ここの隣の総合病院の
院長を務めさせていただいております。秘密は厳守しますのでご安心ください。
熱も37.5まで下がったので鎮痛剤を今までの半分の量にしたいと思います。でも痛いのを
我慢しないでくださいね。痛くなったらすぐ連絡ください。気持ち強めの鎮痛剤を処方します
無理して熱が出たらまた回復が遅れてしまいます。
(エコーの画面を観ながら)術後の経過もいいようですし…とにかく無理しないでください
それとマスクはもう少し付けておきましょう。それ以外の機材は引き上げます。(婦長が
テキパキ機材を片付け始め廊下に移動する)少しさっぱりしていいでしょう。
お昼前には佐渡先生が来るとおっしゃってました。それでは何かあったらお呼びください」
そう言って山下は看護師を連れて戻って行った
「ユキ、よかったな。でもまだ熱があるんだな。」(進)
「背もたれ少しあげようか」(島)
ユキがうなずいた。ちょうどその時南部の携帯が鳴った
「織田さん、おはようございます」
<あぁ、おはよう。昨日はずいぶん遅くまで起きていたようですな>
(どこかで監視してるな)
「織田さん、ヤボなこと聞かないでくださいよ。それより何か私に用事ですか」
南部はみんなが聞き取れるように少し耳を浮かせた
<…いえ…ちょっと心配で…>
「何が心配ですか?」
<他のメンバーと連絡取りあってたりしたら…と思いまして…>
「…織田さん、仕事の話でしたら後でゆっくり聞きます。ゲストに悪いですから切りますよ」
半ば強引に南部は携帯を切った
「いいのか?南部。気付かれないか?」(島)
「ふぅ、ヤバいヤバイ。どこで見てるかわからないな。念のため801はタイマーで電気を
消すようセットしておいたんだ。802と一緒に消灯したら怪しまれる、って思って。うん、
我ながら正解だったな。」(南部)
「それはさておき朝食802に運んで起きました。真田さんと島と先に食べてこいよ。」
南部がそう言ったので‘悪いが先に’と言って二人が出て行った
「南部、ちょっとユキ頼む。長官に連絡取るから」
「OK」
進がリビングへ携帯を持ちながら出て行った