永遠に…の傷跡 10
「でもユキも俺にはもったいないと思うよ。」
進の視線がさらに優しくなる
「……」
ユキは何も答えられない…ユキの脳裏に浮かぶのは噂を信じた軍内部の反応…ユキの瞳に一気に涙があふれてきた
「…どうした?なんで泣くの?何か言われた事思い出したのか?」
ユキは胸を抑えてせき込んだ。進は慌てて酸素マスクを顔に当てて
「全員が全員あの噂を信じてるわけじゃない。大丈夫だよ、ユキ…」
(ユキは…こんな小さな体でいろんなものを背負ってしまったんだ)
進は右手でユキの肩を抱き痩せて背骨がごつごつした痛々しい背中をそっとなでてやった
「伊藤さんから連絡来まして泉さんは今復興作業中で地下都市に来るのに30分ほどかかる
との事です。」
そう相原がみんなに告げると
「そうか…慌てなくていいから必ず来るよう伝えてくれ。それと801には南部も来てくれるか?」
真田がそう言うと
「了解しました」
相原はすぐ伊藤にメールをおくり南部はうなずきながらフロントに電話して泉が来たらコーヒーと軽く食べられる物を運ぶように手配した
作品名:永遠に…の傷跡 10 作家名:kei