永遠に…の傷跡 10
泉が部屋を出て行ったあと真田と南部は斉藤の端末を持ってユキの部屋へ戻った
そして真田はすぐその端末をユキに見せた
「…ユキ…泉さんからの預かり物だ…」(真田)
「(端末を見て)…これ…」
ユキの大きな目がさらに大きくなる
「…そうだ…斉藤の端末だ…泉も無事で…いま復興工事の手伝いをしているそうだ。ユキの
体調が良くなったら会いたいと言っていた…古代…お前もあってほしい…」(真田)
「…斉藤の最期を知ってるのは俺だからな…」(進)
「ユキ、ゆっくり少しずつな。無理するとまた熱が出るぞ。」(島)
そう言うと進とユキとふたりだけにしてやった
日誌はヤマトに乗り込んだ翌日から始まっていた。そこには鋼鉄に囲まれた戦艦の批判とこの端末の入手方法が載っていた。それからしばらくは対空間騎兵隊の事ばかりで乗組員との小競り合いばかりが出てきた。きっと退屈だったのだろう…どこへ行っても敵だらけ…そんな
印象だった。
それとよく出てくるのがユキの名前だった。空間騎兵隊は時間つぶしによく佐渡の所へ出入りしていた。特にユキもとがめなかったので第一艦橋が非番の時は医務室で器具の点検とか薬の補充シーツなどのランドリーをしていて暇にしてるとユキがこき使っていた、などしっかり書き込まれていた。
それを見てユキは“そうだったかしら?”などと独り言を言いながら見ていたが根を詰めるとよくないので5日分ほど見たら進に取り上げられてしまった
「ずるい、古代くん先に見ちゃうでしょ?」
「見ないよ、ユキと一緒に見るから…これは真田さんに預けておこう。」
進はそう言うと別の部屋でほかのメンバーと話してる真田に預けてしまった
「古代」
島が進を呼び止めた
「いいのか?俺らで話進めても」(島)
「…俺、すぐ顔に出るだろ?こーゆーの向かないって思うんだ…他人事って思ってるわけじゃ
ないんだ…ただ…もし相手を見たら…」(進)
(本気で殴ったら…相手は死んでしまうかもしれない)
そう思っていたところで
「お前じゃ殺しかねないな。俺だって戦闘モードになったぐらいだ。お前じゃきっとダメだ
証拠つかむ前に殺してしまうだろう…古代はユキさんに付いていてやれよ。今まで散々
さみしい思いしてたんだ…こっちは任せて…」(南部)
「…ありがとう…」
進はそう言うとユキのベッドへ戻って行った。
作品名:永遠に…の傷跡 10 作家名:kei