永遠に…の傷後 11
ユキは深い眠りに引き込まれるようだった
「もうすぐ…この穴掘りも終わるのね…」(ユキ)
「そうだな…長官の話だと後10メートルないって言ってたもんな…それでも今日は無理だろう
明日…明日は必ず真下に出る…そしたら」(泉)
「私も乗り込みます。」(ユキ)
「無理だ、女のあんたには絶対無理だ!それに足手まといになる!」(泉)
「女だから足手まといになるって言うのはおかしいわ。何世紀前の話してるの?それって立派な
女性差別よ。私だってヤマトで特別訓練受けてるもの…泉さんの部下と同じくらいは動けるわ
ううん、ひょっとしたらそれ以上かもしれないわよ。鬼の古代の訓練受けてたんだから…
それに…私は内部に入らないといけないの…」(ユキ)
「…別に男女差別ってわけで言ったんじゃないんだがな…体力がもつか?食べてないだろう?」(泉)
「食べてるわ。泉さん自分たちが基本だからそう思うだけよ。女性にしてみたら私食べる方よ。
これも仕事のうちって思えば大丈夫!明後日に笑ってるのは私たちなんだから!」(ユキ)
そういいながらユキはいつも泉が率いる空間騎兵隊と一緒に行動していた。最初はユキの事を排除しようとする者もいたが余りに一生懸命働くのでいつしか“同志”としての絆が芽生えていた
おにぎりやサンドイッチという簡単に食べられる物がいつも休憩所に置いてあってそれを適当にとって食べていた。泉に“ちょっと失礼するわ”と言ってユキは席を立った。さすがに男ばかりのここで堂々と“トイレに行きます”と言い難くていつもそう言ってトイレに行っていた。
トイレも男女と別れてるわけではなく一緒に使っていた
ユキがトイレから出てくると大柄の男たちが舐めるように下からユキの事を眺めて来た
「…こんなところにお嬢様がいらっしゃるぞ」
ユキはそう言われるのがすごく嫌いだったので無視して泉のところへ行こうとしたら右肩を掴まれたしかしユキは護身術ぐらい身につけている。
男の手を払いのけた瞬間に男の体の下に回り込みくるっとひねり返した
「…こいつ!」
「何か御用ですか?明日の作業に差し支えるので失礼させていただきますが…」
ユキの冷静な言葉遣いが気に入らないのかさらにちょっかい出そうとして無理な体勢を取ろうとしているがユキがしっかり急所を抑えていて身動きとれない…とそこへ別の男がやってきて
「…なに手間取ってんだよ、たかが女一人に」
そう言っていやらしい笑いを浮かべて来た。さすがに男二人も相手にする力はない。ユキはどうするべきか考えた一瞬のすきにとらえてた男が身をかわし今度はユキを羽交い絞めて口を手でふさいだ。
何とかしようと暴れてみるが男二人にしてみたらそれもそそるしぐさの一つにすぎない
「…ここじゃ目立ちすぎるぜ…(トイレの扉を指して)別の場所で楽しもうぜ」
(古代くん…助けて…)
後から来た男が目をギラギラさせてユキのみぞおちに一発入れるとユキは気を失った
そこへなかなか戻らないユキを気遣って泉が自分の隊員を3人ほど連れてトイレへ来たところでユキを担いでる男二人と遭遇した。男二人はヤバイという顔をしながらも“どけ!”と言って無理やり通ろうとしたので泉と隊員がその二人を殴り倒しユキを抱きかかえていつも休憩してるところへ戻ってきたしばらくするとユキが咳をしつつみぞおちを抑えながら目を覚ました。額には冷たいタオルがのせてあった。
「…大丈夫か?」
「…泉さん…?私…?」
ユキはさっき起きたことを思い出していた
「大丈夫だよ、何もなかったんだ。な!」
泉はそう言って部下を見渡した
「そうですよ、俺らが助けましたから大丈夫っす!」
「森さん、次から曲がり角まで送り迎えしますから…」
「隊長はここで留守番です」
そういってユキを励ましてくれた
作品名:永遠に…の傷後 11 作家名:kei