永遠に…の傷後 11
はっとしてユキは目が覚めた。額には汗が流れていて進がそれを拭いていた
「ユキ…あまりいい目覚めじゃないみたいだね…うなされてたぞ…大丈夫か?」
進が心配そうにのぞきこんだ。ユキは震える手で布団を掴むだけで返事をしなかった
「怖い夢でも見たのか?」
夢じゃない…ずっとずっと意識の奥に封じ込んでいただけで…思い出した…同じ地球人にも私は襲われたんだ…未遂だったけど…あの時泉さんが助けてくれなかったら…
ユキの呼吸が荒いのがわかる。進はベッドの角度をあげてやった
「そろそろ看護師さんが来る時間だって思って…点滴変える時着替えもお願いしようか」
進が太田の買ってきたパジャマを用意した
「ゆっくり呼吸して…そう…深く吸わないと…」
ユキは進の言うとおりにした
「大丈夫、ユキはユキだから。」
そう言うと“タオル冷やしてくる”と言って洗面所へ行こうとした
「…行かないで…一人にしないで…」
小さな声だったが進にはちゃんと聞こえた。進はちょっと待ってて、と声をかけると誰かにタオルを預けてすぐユキの元へ戻ってきた
「…どこにもいかないよ…」
そう言って左手を握りながらベッドの横にある椅子に座った
作品名:永遠に…の傷後 11 作家名:kei