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永遠に…の傷跡 12

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久々に食べ物を口にして安心したのかユキは再び眠りについた。ユキが深い眠りにつくころを見計らってあらかじめ院長の山下に“食事をしたら痛み止めを点滴にさしてください”と言われてた薬があったのでそれを注入しみんなのいる別室へ行った

  「ユキは寝たか?」(島)
  「あぁ…少し主湯も食べられたし…今食後の鎮痛剤注入してきた。」(進)
  「じゃぁ先に802に言ってメシ食って来いよ。ここじゃいいにおいしてユキに悪いだろ?」(真田)
  「そうですね、ユキが寝てる間にシャワーも浴びたいしな…じゃぁ先メシ行ってきます。」(進)
  「真田さん、俺も一緒に食べてきていいですか?」(島)
  「そうだな、そうしてくれ」(真田)

進と島は二人でスイートを出た。802へ向かうと部屋の前にホテルの関係者らしきボーイが立っていてドアを開けてくれた。するとそこにはシェフが一人待っていて大皿の下にあるコンロに火を入れたり飲み物を並べたり始めた

  「…先に2名様でしょうか?」

二人はあっけに取られながらとりあえず“はい”とだけ言うと一緒に入ってきたボーイがリビングの椅子を引き二人を座らせた。シェフは手際よく食材をきれいにお皿に盛ってボーイはワイングラスを二つもってやってきた

  「南部様よりノンアルコールの物をお出しするようにと言い使っておりますのでノンアルコール
   ワインでございます。」

そう言ってテーブルに静かに置いた。シェフも

  「温めましたものは改めましてお持ちします。先にこちらからお召し上がりください」

そう言ってサラダを中心とした軽めの物を彩りよく運んできてくれた

  「「ありがとうございます…いただきます。」」

二人をリビングに残しボーイもシェフも二人から離れたところで食事の様子を見ていた

  「…びっくりしたぜ…フツーにおにぎりとから揚げとか山積みにしておいてくれればいいのに
   なぁ…」(島)
  「…南部ってここに泊まるといつもそうなのか?」(進)
  「実際思うけど…ほんとユキは南部と一緒に暮らした方がいいんじゃねぇ?」

島がいたずら坊主っぽく言った

  「まぁ誰かさんにそう言って本気で取られたら困るからいわねぇけど!」
  「ば~か、元気だったらユキだって絶対おにぎりにから揚げ派だよ!”」(進)
  「…よかった…お前がそう言えればもう大丈夫だな。ユキの状態はどうだ?病状はよくなって
   来てるみたいだが…」(島)
  「あぁ…まだうなされるんだよな…まだ何も話してくれないから無理に聞くこともできないが
   少しずつでも話してくれるようになるまでは待たないとダメだろうって思ってる。」(進)
  「気の短いお前が待てるか?」(島)
  「お前に言われたくないね!でもみんながあそこにいるおかげでユキの精神状態も保たれてると
   思うんだ。場所は違えどメンツはヤマトのメインクルーだからな。俺が言うのもなんだけど
   みんなと一緒にいると自宅にいるような変なくつろぎ感を感じる時があるんだけど…
   お前、そーゆーときないか?」(進)
  「実は俺もそーゆーとき有る。でもよ、ユキは実家に帰りたいとか親御さんに会いたいとか
   言わないのか?」(島)
  「うん、一度お母さんに来てもらうか?って聞いたら心配かけるからいやだってさ。心配して
   くれる人がいるんだから甘えたっていいと思うんだけど…」(進)
  「…ほんっとにお前ってニブいなぁ!ユキはさ、お母さん来たらお前の居場所がなくなるって
   そっちの方心配してるんじゃないのか?ユキのかーさんきたら絶対あれこれ世話やいて…
   “もう、進さんはあてにならないから向こうに行って!”って言われそうだろ?」(島)
  「…否定できないところがある」(進)
  「…こんな男ばかりのところで娘がゆっくり休めるわけないでしょ!連れて帰ります!って
   言いそうだろ?」(島)
  「…俺ってほんっとに…」(進)
  「自覚しろ!ったく…」(島)

二人は笑いながら食事をしてるとメインが運ばれてきた

  「お待たせしました…温かいうちにお召し上がりください」

ボーイがさっきのノンアルコールのワインを継ぎ足した

  「「ありがとうございます」」

そう言って二人は元のポジションへ戻って行った

二人は山崎が電話してから進展がない事などコソコソ話をして最後デザートと紅茶を頂くと802を出てスイートへ向かった
作品名:永遠に…の傷跡 12 作家名:kei