永遠に…の傷跡 12
「南部!なんじゃありゃ!」(島)
「…食事、口に合わなかったですか?」(南部)
「あのシェフはずっとあーして全員の食事が終わるの待ってるのか?」(進)
「…えぇ…もうホテルの方の食事の方は終わってますから…ルームサービスとかは新米の
シェフで充分ですから…」(南部)
「…どうしたんだ?」(真田)
「どうしたって…真田さんはまだ食事行ってないですか?」(進)
「まだだが?お前たちが帰って来たら南部と行こうと思ってたが?」(真田)
「じゃぁ早く言ってきてくださいよ。一般市民は落ち着かないです!」(島)
「…そうか…じゃぁ悪いが行くぞ?」(真田)
「「行ってらっしゃい」」(進&島)
「そんなすごい食事だったのか?」(山崎)
「もう、すごいですよ、なんかのパーティー会場みたいでした。あれ残ったらどうするんだろう」(島)
「山崎さん、残ってたらお持ち帰りした方がいいですよ。絶対もったいないです。」(進)
「山崎さんだけじゃなくて太田、今日戻るだろ?持って帰れよ。」(島)
二人はわけもわからずうなずくだけだった。
そのころ南部は涼しい顔をして食事をして真田だけが“これか…”と思いながら食事をしていた
801の部屋は電気を点けたままにしてある。南部と真田が食後801の様子を見に扉を開けた
「ふうん、となりと同じなんだな。ちょっと思ったんだがここって勝手に上がってこれるのか?」(真田)
「いえ、今避難所代わりに貸してる階はそこの階までしかいけないエレベーターがあります。
そして5階以上になると必ずフロントの前のエレベーターじゃないと上り下り出来なくて…
俺たちは業務用の使ってるからまた別なんだけど…だから織田がフロントを通らない限り
ここへは来れないってことなんですよ。」(南部)
「そうか随分セキュリティーのしっかりしたホテルなんだな。」(真田)
「だからココ選んだんですよ。……それにしても…今日はもう織田は動いてきませんかね?
中島から動きが止まってしまって…気になるんですが…念のため今日は私801で寝泊まり
しようと思っています。なんだか不意打ちくらいそうで…」(南部)
「…それは戦闘班の感じるカン、か?」(真田)
「えぇ…フロントも人が変わるとなかなか伝達事項がうまくいかない瞬間があります。たとえば
交代の時間とか…前にも来てるから、とか言ってフロントを突破しようと考えるやつが
いるかもしれません。中島のように計算高い人間はしないかもしれませんが織田に入れ知恵
されて来る可能性もあります。今の上層部の一部には俺たち新米が戦闘班長や航海長して
るのを由と思わない連中たくさんいるはずなんですよ。イスカンダルへ行く勇気がなくて若造
だった俺たちに仕事を押しつけて待っててやると追い出したヤツらが…戻ってこないと思って
いたらちゃんとお土産付きで戻ってきて。待ってたやつらはひきょう者呼ばわりされて…
一緒にイスカンダるに行ってたら英雄だったのに!ってそう妬んでるヤツは結構いるんです
地下都市に徐々に侵入してくる放射能の恐怖と闘いながら待っていた地球市民の事なんて
なにも考えちゃいない。そんなヤツらにヤマトをつぶされてたまるか!」(南部)
「…そうだな。俺たちは何があっても今回の事からユキを守らなくてはいけない…ヤマトを
守って…地球を守って死んでいったヤツらの為にも…この名誉は守らなくてはいけない…
後藤の記事が早いか俺らが早いか…」(真田)
作品名:永遠に…の傷跡 12 作家名:kei