永遠に…の傷跡 13
ユキは眠っていた。進はユキのそばを離れてモニターで山崎と太田、中島、後藤の会話を聞いていたがユキの傍に戻って来ていた。
敵は味方の中(防衛軍)にもいたのだ…改めてそれが事実だと思うと大きなため息が出た
進はユキの左手を握りながら自分の中でどろどろしてるものを何とかしたいと思いつつそれができず悶々としていた
「…古代くん?」
余りにも強く握りすぎたのかユキが起きた
「ユキ?ごめん、起しちゃったか?」
進は今までのしかめっ面を笑顔に変えてユキの手を優しく包んだ
「ううん…お腹に温かいものが入ると眠たくなるのね、きっと。」
進はそっとベッドを起こした
「少し…飲む?」
ベッドサイドにあるポットを指さした
「…うん、少し。」
小さなグラスにほんのり温かいお湯を注ぐと進はそれをユキに手渡しコク、コク、コク、と少しだけ飲んだ。
「…ありがとう…」
ユキはそう言うとグラスを進に返した
「古代くん、とっても困った顔してたよ」(ユキ)
「そんなことないよ?」(進)
「誰かがね、言ったの。“大丈夫、うまくいくから”って言うの。それがどこから聞こえてくるのか
わからなくて…“そこにいくから待ってて”って言ってるのにその声の人はどこかへ行って
しまって…」(ユキ)
「男の人?女の人?」(進)
「…男の人っぽい?かなぁ?」(ユキ)
「…きっと…みんなが見守ってくれてるんだ…」(進)
「えぇ…そうね…」(ユキ)
ユキはそう言って目をつむった
ユキの見た夢は……………
ガクン!!…ゆら~……
ヤマトがいつもより揺れが大きかったが水中から発進ということで抵抗が大きくて
揺れも大きかった。それより出航が少し早まったので
「…じゃぁユキ、俺は一足先に行くよ。ユキはしばらくここに…」
島は揺れる艦内を走って第一艦橋へ上るエレベーターへ乗り込んだ
しばらくすると揺れはピタっと止まりスムーズに角度が変わると一気に飛び立ったのが
わかった
(やったわね、島くん!)
それから一気に戦いは都市帝国との決戦になりたくさんの命がユキの看護もむなしく
儚く手のひらからこぼれていった
その一つ一つが声になり‘もうひと頑張り!’とか‘いつも見てるよ、大丈夫!’とか
声になってユキを支え始めたのだ。
ユキはその声の所へ行こうと待ってて、と言うがその声はどんどん上に上がっていく…
ユキはふと温かい左手のぬくもりを思い出して目を覚ましたのだった
作品名:永遠に…の傷跡 13 作家名:kei