永遠に…の傷跡 14
藤堂はしばらく全員と雑談したのち部屋を出て行った。それから入れ替わるようにフロントから連絡があり泉が来た、との事だったので部屋に案内させた
「空間騎兵隊、泉であります。」
泉は南部の指示通り私服でやってきた
「南部です、お忙しい中お呼び立てしてすみません。」
南部はそう言いながらユキと古代のいる所へ案内した
「…森さん…」
あの時よりさらに痩せてやつれているが…こんなにきれいな人だったんだ、と改めて泉は思った
「古代くん、こちら私がパルチザンとして一緒に活動してた時助けてくれていた泉さん、泉さん、
こちら私の婚約者の古代進さん。ヤマトの戦闘班長兼艦長代理をしています。」
二人は歩み寄りがっちり握手した
「ユキが…お世話になりました…なんと言ってお礼を申し上げたらいいかわかりません」
「…いえ…私たちは森さんだから守ったのではありません。一緒に戦う一員として守りました
一緒に戦ってわかりました…。戦艦に乗ってる人は何でも出来る人じゃないとダメなんだ
と…。森さんは普通のパルチザンの倍働いていました。途中で倒れるんじゃないかと心配に
なるほどでした。でも最後まで戦い抜いて…すばらしい方だと思います…
斉藤の…日誌…ご覧になりましたか?(二人ともうなずく)実は太陽系に入ってすぐだと
思うんですが斉藤からメールが届いていまして…日誌と照らし合わせると防衛軍が一度
集結して会議してる頃…でしょうか…もうすぐ地球に帰れる…帰ったら一緒に飲みたいヤツが
いる…ってその男の名前は古代進だって…。で、斉藤は森さんに惚れてたんでしょう、
俺の女を取って行ったって…ただのお前の横恋慕だろ、って今だとわかるんですがね…」
進もユキもふふふ、と笑う
「最期に…こう書かれていました。“古代の為なら死ねる…一緒に帰って飲みたいが…これ
からの戦いを思うと俺自身どうなるかわからねぇ…泉よ、俺が死んだらきっと最期古代と一緒
のはずだ。きれいなおねぇちゃんの話をつまみに俺の代わりに飲んでやってくれ”って。
でも俺らの知ってる古代進はとてつもねぇ天の上にいる人間でとてもじゃないが俺たちが
軽く声かけられる身分のヤツじゃねぇ、って思っててよ…。そしたら森さんがいて…きっとこれは
斉藤が導いてるんだって思ったんだ…。頼む…教えてくれ…斉藤の最期を…」
進は一瞬固まった。ユキにも実はじっくり話した事がない
「古代くん?」
ユキが不安げに進を見上げると“私も…聞きたい…”そう言った。いつの間にか真田や島、南部達も来ていた。
作品名:永遠に…の傷跡 14 作家名:kei