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永遠に…の傷跡 14

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  「…」
  「諦めるんだな。心配ならさっさと結婚して自分のものにしてしまえ…といいたいところだが
   そうもいかんだろう。」(真田)
  「結婚…ですか?」(進)
  「婚約期間が長いが実際結婚してると同じようなもんだろう?お前のところは。」

真田が言った一言で進は思わず真っ赤になってしまった

  「前にも言ったが好きな者同士が一緒になることは悪いことじゃない。それに今は一番ユキの
   気持を考えてやらないといけない。おそらくそんな事務的なこと彼女は求めてないだろう。
   ユキが求めてるのは自然な形のお前なんだ。さっきみたいな普通のやり取りがユキの一番の
   薬なんだよ。久々にユキの自然な表情をいっぱい見たような気がしないか?」(真田)
  「…そう言えば…」(進)
  「一番近くにいると普通の事が普通すぎて気が付かないんだよ。まぁ俺に言わせれば“ごちそう
   さま”って感じだけどな。(笑)まるで…ヤマトの中にいるようだったよ。ひょっとしたらユキを
   ヤマトの医務室で入院させたらすぐ良くなるかもな!」(真田)
  「真田さん…」(進)
  「なんて言うのは冗談だが…(笑)本当にユキが笑ってくれるようになってよかったな。」

真田のしみじみとした言い方に進はうなずくしかなかった

しばらくすると食後のコーヒーが運ばれてきてそのままコーヒーメーカーを置いて行ってくれた







眠りについたユキは夢を見ていた


  <ユキさん…気分はどう?>

サーシァだった

  「とてもいいわ。ちょっと食欲も出てきたみたいだし…早く点滴取れるように頑張るわ」

ユキはまだベッドに寝たままだった

  <よかった…それとね、おじ様もお義父様もとってもいい顔になったわ。>
  「?古代くん?」
  <そう。やっぱり自分が守れなかったって、それがずっと尾を引いてたのにね。でもみんなが
   一緒にいて事件が落ち着いて…かなりホッとしてるのね。ヤマトの中でもあんな表情…
   してくれなかったわ。やっぱりユキさんが一番なのね。ユキさん、これからもまだまだ試練が
   続くと思います…私たちの手の届かないところでたくさんの事が起きています。
   でも忘れないで…ユキさんには私とお母様が付いてます。きっと…これからも大丈夫。
   ユキさんも私の事忘れないで…>

サーシァの大きな瞳から真珠のような涙がぽろぽろ落ちてくる

  「サーシァちゃん、どうして泣くの?お願い泣かないで…私まで悲しくなってきちゃうわ」
  <ユキさんありがとう>
  「私何もしてあげられなかったのに…」
  <ユキさん、笑って…私のために…おじ様のために…お義父様のために…みんなのために…>

サーシァの姿が碧い光の中に溶けていくようだった

  「行かないで!サーシァちゃん!!」




進と真田はユキの叫び声を聞いて慌ててベッドの横へ来た。

  「ユキ、ユキ!どうした?」

進が肩を揺らして起こしているとベッドの脇からコロっと何かが落ちた。それを真田が拾うとそれを進に渡した

  「…サーシァがユキに会いに来た?」(進)
  「きっと…そうだと思う。ずっと心配してたんだろう…」(真田)

その時ユキが涙を流しながら目を覚ました

  「…ユキ…大丈夫か?」

進がユキの手を握りながらそう聞くと

  「…大きくなったサーシァちゃんが…遠くへ行ってしまったの…行かないでって引きとめたのに
   …笑って、って…私のために、古代くん、真田さんのためにみんなのためにって…そう言って…
   笑って、って言ったサーシァちゃんが泣いてるの…忘れないで、って言ってた…誰もあなたの
   事忘れること出来ないのに…」

そう言ってユキは号泣した

  「ユキ…サーシァ…澪はね多分ユキになりたかったんだよ。すまん、俺の知ってる女性は
   ユキくらいしかいなくて…訓練してる時もユキはこうやってたから澪にもそう教えようと、
   そう思いながらしていた。あの子は人の心を鋭く感じるところがあったから…ひょっとしたら
   俺が雪と澪を比べてるって勘違いしてたかもしれない。同じように教えようとしてたが澪は
   そう捉えなかったのかもしれん。澪は澪…なんだがな…」(真田)
  「そう…だったんですか…」(ユキ)
  「時々…思い出してやってくれ…」(真田)

真田はそう言うとやはり辛いのか別の部屋へ行ってしまった


作品名:永遠に…の傷跡 14 作家名:kei