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永遠に…の傷跡 14

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  「古代くん…私ね、ちゃんと言わないといけないって思ったの。黙って聞いてくれる?…もし
   古代くんが聞きたくなくて…私の事嫌いになってしまったら…静かにここから出て行って
   ほしいの…。」

細いユキの左手が進の右手からするりと離れる

  「あの時…連絡艇から落ちた時…撃たれた肩から落ちたのね…体の中から今までに聞いたこと
   ないすごい音がしたわ。多分…鎖骨は粉砕骨折…肋骨も胸骨も骨折したと思うわ。
   不思議と痛みは感じなかった。人間ひどすぎる怪我をすると痛みを感じる神経が麻痺する
   って聞いたことあったけどそんな感じだったと思う。後から落ちてきた足も骨折したんだと
   思うわ。グシャって言った後足も動かなかったから…肋骨が骨折すると肺に刺さったりして
   キケンなの。多分…そのまま放置されたら私は後からくる痛みで耐えきれずもがきながら
   死んでいったと思うわ…
   でも次に気付いたら…敵の将校が占拠した家の部屋にいたの…あんな所から落ちたとは
   思えないぐらい回復力でそれでも幾分痛みが残っていて…起き上がろうとしたら声がしたの
   “まだ動いてはいけない”って。その人は私を撃った人だった。」

ユキは当時の事を思い出しながらゆっくり…でも時々眉間にしわを寄せてつらそうに話した

  「私は…連絡艇がちゃんと発進して真田さんの所へ行けたのか知りたかったから聞いたの
   そしたらその人は連絡艇の中は生命反応が消えていた、って言ったの…私は目の前が
   真っ暗になったわ。連絡艇に乗れなかった私が生き残ってしまって…命がけで発進した
   連絡艇の生命反応がなくなっていた…なんて…その人は何らかの事故で空気が漏れた
   のだろう、って言ってたわ…私が名前を聞くと…その人は情報将校の少尉でアルフォンって
   名乗ったの。情報将校と言うことはあの爆弾の秘密がわかるかもしれない、と思って私は
   敢えて逃げ出さず怪我が治って自由に動けるようになってもそこから動かずずっと探って
   いたの…でも…なにも見つけられなかった…

   捕虜だから…何をされても何も言えない状態なのにアルフォン少尉は私に何も強要しなか
   ったわ。少尉が留守の時は部屋中くまなく探したけど重核子爆弾に関するものは
   何も出てこなかったわ。私が余りにも無力で…遠くでパルチザンの戦ってる光を見ると
   涙が出てきて毎日泣いてたわ。

   ある日…少尉がこう、言ったの“パルチザンもよく粘るな”って。“君も一級の戦士なんだろう?
   どうしてあの中に入って戦わないのか?君は私が情報将校だと知って爆弾の秘密を知りたい
   からここにいるんだろう”って‘傷を治してくれた恩があるから’ってそう答えたの…そしたら少尉が
   “教えたっていいんだよ”って言ったの。私は思わず‘素’になってしまったのね…少尉が
   そこへたたみかけるようにこう言ったの“私の愛を受け入れるなら…”って」

ユキは不思議と涙が出なかった。進がどんな表情で聞いているのか怖くて顔を見れずずっと下を向いたまま話していた
作品名:永遠に…の傷跡 14 作家名:kei