永遠に…の傷跡 15
<おはようございます。ユキさんの体調はいかがですか?>(南部)
「おはよう。とってもいいよ。昨日までいろいろありがとう。ユキも随分良くなって昨日から山崎
さんが持ってきてくれた野菜スープ飲んでるよ。」(進)
<昨日夜佐渡先生から電話があって保養所の準備があるだろうって事でユキさんも参加できる
って報告もらって早速明日のお昼に出発したいのですがいいですか?>(南部)
「随分急だな」(真田)
<あ、真田さんですね、おはようございます。急っていっても休暇は2週間しかないんですよ。
滞在できるのは1週間でしょ?1週間しかダメ、って佐渡先生に言われてるんです。だったら
さっさと準備して出かけた方がいいでしょう?>(南部)
「でも何も準備できないじゃないか。ユキなんか何も私物持ってないぞ?」(進)
<ユキさんのものは私の方ですべて準備済みです。他必要な物は現地で調達しましょう。
でも古代と真田さんの分はないから…まぁシャツぐらいでしょ?いいじゃないですか、現地
調達で。取りあえず明日9時にお迎え行きますからそのまま部屋で待っていてください。
お迎えは相原と太田が行きますから…>(南部)
「分かった。」(進)
<あ、明日の回診は8時前に行くよう言ってありますからね。>(南部)
「お前本当に抜け目ないなぁ」(真田)
<これぐらいできないと古代の補佐は勤まらないんですよ!では今日1日ゆっくりしてくだ
さいね。>(南部)
そう言って一方的に電話が切れた。
「やれやれ…本当にこのおぼっちゃまは世話焼きだな」(真田)
「…俺ってそんなに抜けてますかね?」(進)
「まぁ…南部が言ってるの…当たってるな…さて…俺もちょっと出かけてくるよ。」
真田が立ち上がったので
「どちらへ?」
進が聞くと
「明日の準備と…少し地上を見てくる。古代の物も少し買ってくるよ。サンダルとか現地調達
より先にほしいだろ?」
そう言うとさっさと出て行ってしまった。進は少し寂しげな真田の後ろ姿が気になった
「真田さんも少し一人になりたいのかもしれないわね…」
ユキがつぶやくように言うと
「きっと…こんなに長い休みも取ったことないと思うしプライベートでこんなに長く誰かと一緒も
なかったかもしれないわ。」
進がユキの元へやってくると
「ユキも…そう思った?」
ユキはじっと進の顔を見ると
「ヤマトが戻ってくるまで時々…あった…でも一人になると…怖かった…どうしたらいいのか
わからなかった…」
ユキはそっと両手を進に向けると進がユキのほっそりした体を包むように抱きしめた
「…もう…怖くないから…俺が…みんなが付いてるから…」
ユキは進のたくましい腕の中でうなずいた
作品名:永遠に…の傷跡 15 作家名:kei