永遠に…の傷跡 16
ユキはたくましく温かい進に抱かれたまま薬が効いてきたのか、うとうとし始めた。
進はベッドに戻ろうかと思ったがユキが腕の中にいる安心感が増さってソファーに寄りかかると一緒になって寝てしまった
<よかったわね、おじ様…>
(…サーシァ?)
<もう…絶対に離しちゃだめよ?>
(あぁ、大丈夫だよ。もう何があっても耐えられる…)
<ユキさんも幸せそうだわ>
(サーシァとスターシアさんのおかげだよ。本当にありがとう。)
<また…会いに来てもいい?>
(いいよ、いつでも…会いに来て…たまには兄さんにも顔を出せ、って伝えておいてくれよ)
<ふふふ…わかったわ。伝えておくけどお父様はお母様とずっと一緒なの。もう離れたくない
んですって。>
進にイスカンダルの最後が思いだされる
(きっとサーシァのお父さんも…たくさん後悔してるんだと思う。いつもそばにいるって思ってた
のに離れ離れになってしまったんだからね…)
<…そうね…そうよね。きっとその瞬間からの時間を取り戻してるのね。>
(サーシァもたくさんお母さんに甘えるんだよ。)
<はい!お父様に負けてられないわ!>
そう言ってサーシァは笑いながら碧い光になって進の顔をなでるように駆け抜けながら遠ざかって行った
作品名:永遠に…の傷跡 16 作家名:kei