永遠に…の傷跡 16
翌朝佐渡が回診に来た
「うん、大丈夫じゃな。糸が溶けるまではちょっとつった感じが残ると思うがまぁ仕方ないだろう。
化膿しそうな部分もないし…南部は明日出発したいと言っとった。紫外線対策しっかりすれば
大丈夫じゃろう。
退院できるようだったらホテルの部屋取るって南部が言っとったわい。わしから後で連絡して
やるからお前さんたちは何もせんでえぇ。
そうそう、ユキ、シャワーは肩に当たらんよううまく入りなさい。そして必ず消毒すること。
消毒綿たくさん持ってきたから…それと包帯自分じゃうまく巻けないじゃろて…このサポーター
持って行きなさい。
朝の薬は飲んだかのぉ?(ユキがうなずく)一週間分の薬…痛み止めと化膿止め…と念のため
抗生物質…忘れん事飲むんじゃぞ?」
佐渡は袋にたくさんの消毒綿と肩のサポーターと傷口に直接触れないように保護シートを数枚と薬をたくさん入れて渡した
「保養所から帰って来たら向こうの病院でなくこっちに顔を出しなさい。山下さんにはこっちから
伝えておいたから。」
そう言うと佐渡はユキの病室を出て行った
「なんだか至れり尽くせりで悪いわ」
ユキがそう言うと
「ヤマトに乗ればみんなが至れり尽くせりになるんだから…いいんじゃないか?」
ユキは少し痛かったのか顔をゆがめながらベッドから降りようとしたが足に力が入らない
「大丈夫か?痛みがあるんじゃないか?」
「大丈夫よ、これくらい。古代くんにしてみたらこんなのかすり傷っていうでしょ?」
ユキは笑って見せた
「血圧下がってるのにまた出血しちゃって…ほんとダメねぇ…」
ユキは少し離れたソファーに移動しようとしたが足が立たなかった。
「古代くんちょっと腕貸して。ソファーに移動したいんだけど足が動かないの。」
ユキの近くに進が来たので立ち上がろうとしたがユキはふわっと自分の体が軽くなるのを感じた
「え?やぁだ、古代くん!」
進がユキを抱き上げて移動していた
「大丈夫なのに…」
口ではそう言いながらユキはそのたくましい胸に抱かれているのが何より心地よかった。でもベッドとソファーは目と鼻の先。そっとソファーに置かれたがユキは進の首にしがみついて
「このまま…一緒に座って…」
「いいよ、痛くないかい?」
「大丈夫…」
以前よりぐんと軽くなったユキの体をそっと包むように進はソファーに座ると軽いながらもその体の温かさと重さを心地よく感じていたのだった
作品名:永遠に…の傷跡 16 作家名:kei