永遠に…の傷跡 16
ふとちからが抜けて床に倒れたユキを進が抱き上げた。やさしい色のサマードレスが肩口から真っ赤に染まっていくのが見えた。
島はその間に救急車と警察に連絡し南部は後部のクルーの控え室のカーテンを開けたそこには3人のクルーが口と手足にガムテープを巻かれ身動きとれない状態で閉じ込められていた
「古代、ユキ!」
真田も慌てて2階に上がってきた。真田が目にしたものはぐったりしたユキとユキを抱える進だった。
真田はクルーの控え室の引き出しを片っ端から開けてタオルを取り出すとユキの肩と脇の下にいれて止血した。しかしそれもあっという間に真っ赤に染まっていった
進のシャツも真っ赤に染まっていた
相原と太田は男たちを1か所にまとめレーザーガンで見張り山崎は夫人に付いていた。夫人はシートに座っていたが膝がガクガク震えていた
やがて救急車が来ると進がユキを抱えてジェットを降りていきそれに島が付いていった
真田はとりあえず山崎夫婦を元のエアカーに乗せ戻るようお願いし警察官が来たので男たちをまとめて引き渡すと事情聴取が始まった
1階の事は真田が伝え2階の事は南部が伝えた。解放された乗組員もけがはなく事情聴取に協力していた。
(…サーシァ…せっかく警告してくれたのに…ユキを守れなかった…すまない)
真田は天井を見て心の中で謝った
ユキは再び中央病院へ戻ってしまった。それを見た佐渡がなんとも言えない表情で迎え入れ治療を始めた。
傷自体は大したことなかったがユキの精神状態を考えると佐渡は心配でならなかった
作品名:永遠に…の傷跡 16 作家名:kei