永遠に…の傷跡 16
その後山崎夫婦がお見舞いに来て長官もニュースを見て慌てて病院に駆け付けたがユキの傷が思ったより軽かったことを知るとホッとして帰っていった。
その後中央病院に一番近いホテルにクルーが泊まれるよう南部の父が手配してくれたのでみんなは病院を出てホテルに向かった
静かになった病室にユキの両親がニュースをみて駆けつけて来た
「「ユキ!」」
ノックもせず入って来たので二人とも一瞬固まったが
「ニュース見て…びっくりしたわ…怪我の具合はどうなの?…それにしてもずいぶん痩せた
んじゃないの?どこか悪いんじゃないの?」
ユキの母はユキに畳みかけるように質問攻めにした
「まったく…何も連絡しないで…あの新聞の記事だって…こっちは心配してるの!あなたは
電話がなければ大丈夫って事だから、って言うから今までこっちから連絡しなかったけど
報道されるまで気付かないなんて…お願いだから…もう危ない事しないで!」
そう言って涙を拭くと進を見て
「…古代さん、あなたが付いていながら…どうして?」
ユキの母が詰め寄るとさすがに父親がユキの母を止めた
「やめないか、母さん。訓練を受けてるからこの程度で済んでるんだ、ニュースでもそう言ってた
だろう?」
父親はそう言ってそっと母親を椅子に座らせた
「…でもね、古代くん何か事があったらきちんと説明してくれないとね。君達の仕事が危険だって
事は百も承知だよ。だけどこれは事件に巻き込まれた、ということで今までとは全然違う
んだよ。」
「…すみません…」
進は何もいえず黙って聞いていた
「ユキ、帰りましょう。ここで寝ててもうちで寝ても同じよ。」
母親が身支度を始めようとすると
「イヤ!あたし帰らないから!ずっと古代くんと一緒にいるの!」
ユキが自由の利く右腕でしっかり肌掛けを握って離さない
「何言ってるの!古代さんが何してくれるわけじゃないでしょう?」
「いいの!一緒にいたいの!私が無事ならいいんでしょう?私は大丈夫だから!」
そう言った時母親が肌掛けを引っ張るとユキの体も引っ張られ傷口が熱くなるような痛みを感じてベッドによじるように体を丸めた
「ユキ!」
進がユキの体を守るように
「ユキを守れなかったのは私のせいで…申し訳ないと思いますが…今はお互い離れるわけに
行かないんです。しばらく…このまま一緒に居させてください。」
そう言って肩で息をしているユキの背中をそっと撫でた
「お願いだから…帰って…っく…(痛みをこらえながら)来て…くれて…ありが…とう」
ユキは痛みをこらえてそう言うと父親がそっと母親を促して病室を出て行った
作品名:永遠に…の傷跡 16 作家名:kei